なぜアメリカ人は、よくディベートをするのか?

  • イラスト:山崎真理子
  • 文:稲石千奈美

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ファストフードの注文でさえ、肉の焼き加減、マスタードの量、ドレッシングの種類、ピクルスの有無など、いくつもの選択肢を突きつけられるアメリカ。そのため自分の意見をもつこと、それを明確に伝えることが幼少期から習慣づけられる。3歳児でさえ、毎朝登園時に先生と目を合わせて握手し「今日の調子は?」と聞かれるから、Yes/Noだけでない自分の意見が求められる。子どもにとっては大権威の教師や医師にも積極的に質問し、納得いかなければ突っ込んで話し合うようしつけられる。自宅からなにかひとつのものを持参し、それに関する情報をみなの前で発表する「ショー&テル」は幼稚園から。人種や文化背景が多様な国だからこそ、人前で自分を印象づけるスキルが役立ち、他人の主張に耳を傾ける重要さを学ぶ。校内クラブ活動の公式ディベートは2組の討論で、お題の賛否どちらに振り当てられても深く調べ、言葉で論理的に説得する、見応え十分の内容。黙っていれば、意見をもっていない退屈な人だと思われる。