日本上陸25周年を迎えたスターバックス、人と人をつなぐ“コーヒーの力”

  • 写真:齋藤誠一
  • 文:吉田けい

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スターバックス コーヒー ジャパンのCEO水口貴文さんが、これからのスターバックスについて語った。

1996年に北米以外初の海外マーケットとして、銀座に1号店をオープンしてから、2021年で25年目を数えるスターバックス コーヒー ジャパン。また、本年はシアトルで創業してから50周年を記念する年でもある。そんな大きな節目を迎えたスターバックスが、さらなる先に見ているものとは何か。昨年3月にオープンした新宿御苑店にて、CEOの水口貴文さんに話を聞いた。

「いま、旅に出かけにくいじゃないですか。リモートワークをしていて、ずっと家にいて、気づけば一歩も外出しなかった、という人もいるかもしれません。だからこそ、うちの店に来てくださって、コーヒーを飲んでホッとする瞬間って、とても大切だと思うんです」

リラックスした気持ちにさせてくれる。それがひとつのコーヒーの力だ。しかし、コーヒーにはほかにも素晴らしい力があると水口さんは語る。

「コーヒー豆は世界中で作られているので、旅に出かけなくても、コーヒーを飲むことで、いろんな国とつながることができるんです。お客様と生産者をつなぐこと、そしてお客様とパートナー(従業員)や、お客様同士をもつなぐことこそが我々の原点。コーヒーには人と人をつなぐ力があるんです」

コーヒーを愛する心が、サステナビリティを実現

都内にあって自然豊かな新宿御苑内に民間企業が出店するのは、スターバックスが初めて。

コンセプトやロケーションが話題を呼び、特に休日には多くの人が訪れる新宿御苑店。

25周年を迎えたいま、スターバックスが見つめ直そうとしているのが、同社のベースとなっている信念。コーヒーの力を信じ、コーヒーを愛する心だ。

コーヒー農園が直面する課題の解決に尽力し、コーヒー豆のエシカルな調達を徹底するなど、業界に先駆けて行っているサステナビリティを意識したアクションの数々も、その信念を表していると言えるだろう。

 タンブラーに代表されるリユーザブルアイテムの使用や販売も、スターバックスが多くのファンに支持される理由のひとつだ。ストローやカップスリーブ、ショッパーバッグなど続々と新商品が登場し、いずれも人気を得ている。

「楽しみながら取り組んで、結果的に社会課題の解決に貢献できたら」と水口さん。

「サステナビリティについては、会社として取り組むべきことでもありますが、それよりもひとりの人間として、……僕には子どもが3人いるんですが、子どもたちやその孫たちに、どんな環境を残していけるのかが重要だと思っているんです。うちの店ではたくさんの大学生が働いていますが、そんな若い世代にとっては、環境について考えることは当たり前になっていますしね」

環境に配慮し、サステナビリティを実現しているか。それはいまや、消費者が商品や企業を選ぶ際の視点になっていると水口さんは言う。

床から天井まで開口部を大きくとり、景色を店内へと導き入れるような開放感溢れる設計。

スターバックスが継続して取り組んでいる活動に、牛乳パックと豆かすのリサイクルがある。牛乳パックはペーパーナプキンやノートなどにアップサイクルし、コーヒーを抽出したあとの豆かすは乳牛の餌や畑の堆肥として利用、その牛乳や野菜を店で使うという食品リサイクルループを実現している。

「牛乳パックは内側を洗って、乾かして、折りたたんで回収し、豆かすは水切りして密閉して回収するので、なかなか大変なんですが、店で働いているパートナーのみんなで意識をもって取り組んでいます。この、みんなでやるというのが重要。みんなが自分ごととして取り組むことで、サステナブルなサステナビリティになっていくんだと思っています」

また、スターバックスでは、店舗で使用する電力をCO2排出量ゼロの100%再生可能エネルギーへと切り替えを進めており、10月末には直接電力の契約が可能な350店舗で切り替えが完了する予定だ。さらに、電力の供給元の選定においても、「地域の電力を、地域の店舗で」循環できることを意識しているという。

より広い視野で、さまざまな社会課題の解決を目指す

新宿御苑店のテラスからの景色。東京の喧騒から離れて、ゆったりとした時間を過ごせる。

スターバックスが考えるコーヒーの“つなぐ力”は、人と人をつなぎ、人と産地をつなぎ、働いているパートナー、そして地域をつなぐ。

「我々が25年間やってこれたのは、地域のお客様が支えてくださったからこそ。『ここにあってよかった』と思われる店を作りたいという一心でやってきました。だからこそ、どうやって地域とつながるかを常に考えています」

新宿御苑店は、地域の象徴となるリージョナルランドマークストアとしてオープンした。「東京の良さ、日本の良さを発信する店にしたい」という思いから、地元東京の多摩産材や、復興支援のために福島県産材を使用している。

店内の天井にも国産材を活用している。周囲の自然に溶け込む、のびやかな店内デザイン。

カウンターに使用しているのも国産材。店内には豆かすをアップサイクルしたシェルフも。

「国産材を活用することで、少しでも林業の課題解決につなげたいですし、訪れたお客様にサステナビリティを感じてもらいたいですね」

スターバックスが取り組んでいるのは環境に関する課題だけでなく、より広い視野で、さまざまな社会課題の解決を目指している。

聴覚に障がいのある従業員が中心となり、手話を主なコミュニケーションツールとしているnonowa国立店は、ダイバーシティ&インクルージョンを象徴する店舗だ。障がいの有無、人種、年齢、性別、個人の価値観などあらゆる違いを超えて、すべての人を迎え入れ、認め合い、お互いが自分らしくいられる場所を作りたい。それが、スターバックスが見つめている未来なのだろう。

水口貴文(みなぐち・たかふみ)●1967年、東京都生まれ。上智大学卒業後、イタリアのボッコーニ大学にてMBAを取得。LVJグループ、ロエベジャパンカンパニーのプレジデント&CEOなどを経て、2014年にスターバックス コーヒー ジャパン入社、COOに就任。16年よりCEOとなる。

「僕が入社したときに、指導してくれたアルバイトの女性が『毎日お客様の笑顔を見られるし、その笑顔が世界中のコーヒー農園につながっているから、この仕事が好きなんです』と言っていたんです。彼女は、自分が現地で撮影したルワンダのコーヒー農園の写真をお客様に見せて、楽しそうに会話していました。そんな、コーヒーに対する純粋な思いが、我々の一番の強みです」

スターバックス新宿御苑店
東京都新宿区内藤町11 新宿御苑
※新型コロナウイルス感染防止などの事情により、店舗の営業時間、サービスの変更などが行われる場合があります。訪問前にご確認ください。

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