鬼才フランシス・ベーコンが遺した秘蔵の130点が、いよいよ松濤美術館に。

  • 文:赤坂英人
Share:

『Xアルバム9 裏─叫ぶ教皇』1950年代後半~60年代前半。フランシス・ベーコン作。©The Barry Joule Collection

【Penが選んだ、今月のアート】

歪んだ動物のような人や、閉ざされた空間の中で絶叫する男など、おぞましいとさえ思える絵画も描き、ピカソと並び20世紀を代表する画家と言われるのが、フランシス・ベーコンだ。

彼は1909年アイルランドのダブリンで生まれた。子ども時代から病弱で、17歳で学校をやめている。母親の洋服を着ているのを父親に見つかり、勘当されてロンドンに移った。18歳の時、親戚に連れられてベルリンに滞在。同性愛者に寛容なベルリンの文化に刺激を受けたという。その後パリに移り、独学で絵画を学んだ。第2次世界大戦が終わると、衝撃的な具象絵画を発表し、美術界に本格的にデビューした。抽象絵画が主流となっていった20世紀美術の潮流の中で、彼は唯一無二の具象的イメージを一貫して描き、追究した。

今回の展覧会では、ベーコンがシュルレアリスムに影響を受けていた初期の頃の作品とみられる絵画や、自分はやらないと公言していた下絵的なドローイングやスケッチ類が日本で初公開される。また、線やイメージが描かれた雑誌や新聞の切り抜きなどの収集物も展示。謎に満ちた伝説の画家と言われるベーコンが、死の直前まで秘密にしていた一面が明らかにされるかもしれない──。そう言っても過言ではない貴重な資料の数々だ。

初公開となるこれらの資料は、ロンドンにあるベーコンのスタジオ兼自宅の近所に住んでいた、バリー・ジュールが保管してきた秘蔵コレクションだ。70年代からベーコンの身のまわりの世話をした人物で、ベーコンが死の直前に1000点以上の資料を贈呈したという。そのうちの約130点が日本でお披露目となった。また展覧会図録に寄せたジュールのエッセーが秀逸だ。ベーコンが語った映画や文学、愛読書についてのエピソードは興味深く、今後、物議を醸しそうだ。

『自画像の写真上のドローイング』1970年代~80年代頃。フランシス・ベーコン作。©The Barry Joule Collection

『自転車選手の写真上のドローイング』1970年代~80年代頃。フランシス・ベーコン作。©The Barry Joule Collection

『フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる』
開催期間:4/20~6/13
会場:渋谷区立松濤美術館
TEL:03-3465-9421
開館時間:10時~18時 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月 ※4/27〜5/11まで緊急事態宣言のため休館、詳細はWebにて確認を。
料金: 一般¥1,000(税込)
※土曜、日曜、祝日、6/8~13は日時指定予約制
https://shoto-museum.jp

※臨時休館や展覧会会期の変更、また入場制限などが行われる場合があります。事前にお確かめください。