消費で政治や企業に立ち向かうアメリカの熱いムーブメントを知るための一冊『Weの市民革命』

  • 文:今泉愛子
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『Weの市民革命』佐久間裕美子 著 朝日出版社 ¥1,650(税込)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】

アメリカで猛烈なゆり戻しが起きている。トランプ政権下での移民、難民の排除、LGBTQ+や女性に与えられていた権利の縮小、環境規制の緩和などに対して、市民が連帯してノーを示しているのだ。20年以上ニューヨークで暮らす著者は「いま、革命が起きている」と書く。

革命の主体を担うのは1981年から96年に生まれたミレニアル世代だ。彼らの抗議運動は静かに進行する。自分が反対する政治家とつながりのある企業やブランドには不買の姿勢を表明し、自分が信じる大義や価値にコミットする企業やブランドに喜んでお金を使うことで政治的意思を表明するのだ。こうした行為はSNSを通じて瞬く間に拡散され、大きな動きとなる。これは消費アクティビズムと呼ばれる手法だ。

たとえば、トランプ大統領がイスラム教国出身者の入国制限を実施した際、ニューヨークではイスラム教徒率の高いタクシー業界がストライキを発表したところ、即座に配車アプリ「ウーバー」がディスカウントキャンペーンを実施。これがトランプ大統領の政策支持に当たるとしてウーバーアプリを削除する運動に発展したという。企業が示す政治的スタンスが、ブランド価値を大きく左右する時代なのだ。

こうした動きを著者は「Weの市民革命」と名付ける。個人主義でコミュニティ精神が欠如している「Me(自分)」世代と呼ばれていた若者たちが立ち上がり連帯することで、「We(私たち)」の時代が到来したのだ。

著者はさらに、これから私たちがよりよい社会を維持するために持続的に取り組める行動を模索する。たとえば、オンラインでものを買うことはサステイナブルでエシカルなのか。なにをどこで食べるのか。衣服はどんな素材のものを選べばいいのか。私たちが動けば、社会は変えられるのだ。



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