エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中、ダグ・エイケンの没入型インスタレーション『New Ocean: thaw』で感じる水。

  • 写真・文:中島良平
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壮大な自然の風景から滴る水まで、マクロとミクロを往還する映像のダイナミズムに身体感覚を刺激される。

身体性に訴えかける映像インスタレーションが世界的に評価されるダグ・エイケン。フォンダシオン ルイ•ヴィトンがこれまで未公開だった所蔵作品を展示するプログラム、「Hors-les-murs(壁を越えて)」の一環として、エイケンの没入型インスタレーション作品『New Ocean: thaw』を紹介するエキシビションがエスパス ルイ・ヴィトン東京でスタートした。

半円形をなすように配置された2組の3面スクリーンには、アラスカの景色、空、解けゆく氷河、そこから滴る水の映像が万華鏡のようにめくるめく展開する。氷河の音を編集した音声が電子音とミキシングされ、“没入型”と表現される通り、氷が溶けて水となり、日の光を受けて大気に含まれていく循環に引き込まれたような感覚を味わえるインスタレーションだ。

2組設置された3面スクリーンには両面に映像が投影されており、回遊しながら音と映像を味わうことができる。

生命を飲み込んでしまうような氷河の動きは、自然の壮大さとその恐ろしさを訴えかけてくる。

この作品の中心に身を置きながら、自然のエネルギーを強く意識した体験として富士登山の体験を思い出した。山開きを間近に控えた6月下旬、登頂したのはたしか3時前後で、日の出まで1時間以上待たなければならなかった。防寒していたつもりだったが、何しろ寒い。とくに足元、汗をかいて冷えた靴の中から、全身が凍えてしまう。しかし4時過ぎに日が上ると間もなくして、フワーッと暖気が一帯に広がり、本当に救われた気分になった。

映像と音を組み合わせ、アラスカの風景を抽象化したようなインスタレーションには、圧倒的な自然の広大さが収められている。温暖化で水位が上がっていく環境問題への危機意識を揺さぶる一方、生命を生み出し包んでくれる自然の壮大さを感じさせてもくれる。実際にインスタレーションに身を置いて何を感じるか、会場で体験してほしい。

緩急がついた映像展開、画面に映し出される色彩の美しさにも注目したい。

DOUG AITKEN
NEW OCEAN: THAW

開催期間:2020年11月13日(金)〜2021年2月7日(日)
開催場所:エスパス ルイ・ヴィトン東京
東京都渋谷区神宮前5-7-5ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
TEL:0120-00-1854
開館時間:12時〜20時
休館日:ルイ・ヴィトン表参道店に準じる。
入館料無料
※会場内の混雑防止のため、入場制限を行う場合あり。
https://www-prp.espacelouisvuittontokyo.com/ja/detail