山形の老舗ニットメーカー佐藤繊維と、森岡書店・森岡督行が異色のコラボレーションを発表。

  • 文:小暮昌弘

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右:山形県を拠点に紡績から製造まで行い、地元でセレクトショップ「GEA」を運営する佐藤繊維社長の佐藤正樹氏。 左:「1冊の本だけを売る」という異色の書店、森岡書店オーナーの森岡督行氏。

彼らが紡績する糸に大手メゾンブランドが惚れ込むなど、世界的にその名を知られる佐藤繊維。そのオリジナルブランドである991(キューキューイチ)と、東京・銀座で「一冊の本を売る書店」として知られる森岡書店・森岡督行氏との異色のコラボレートコレクションが発表された。実は森岡氏と佐藤繊維の4代目社長である佐藤正樹氏は、同じ山形県寒河江市生まれの同郷人。世代や活動するフィールドは異なるものの、お互いのこだわりをリスペクトし、今回初めてのコラボレーションが実現した。

日頃からハイゲージの英国産ニットを好む森岡氏。パターン(型紙)や素材にもこだわりをもっているが、佐藤氏から「991」の素材やデザインについて話を聞くとすぐに共感し、今回の共同プロジェクトは始動した。

「佐藤社長と話してみて、まず今回使わせていただいた『RaY S(レイズ)』という糸が面白いと思いました。最近は毎日の生活でもサステイナブルを意識するようにしていますが、この糸は有害物質を使うことなくウォッシャブルを実現した、革新的な技術で創られた素材。この糸で編み立てたニットを着ることで、サステイナブルの取り組みに参加できるのならば気持ちがいいと思い、このプロジェクトを進めました。また手袋やストールなどに使用した『Sultan(サルタン)』は、オーストラリアでストレスのない環境で育てられた羊の原毛で編まれています。動物と人間の適切な関係を連想させ、しかも肌触りもいい。この2つの素材に親しみを覚えたことが、今回のプロジェクトのバックボーンにあります」と森岡氏。

出来がった製品を森岡氏に着用してもらい、各所を微調整する佐藤社長。「肩周りのモタつきがなく、すごく着やすいです」と森岡氏。

今回のコラボレーションは、佐藤繊維のオリジナルウール糸「RaYS」と「Sultan」にフォーカスし、4品番に絞ったカプセル・コレクションだ。佐藤繊維が運営するセレクトショップ「GEA」の特設サイトで、10月4日(日)の18時から、11日(日)23時59分まで予約を受け付ける。4日(日)21時からは、森岡書店のInstagramで行われるインスタライブで、フラワースタイリストの平井かずみさんと森岡氏が今回のコラボレーションについて語り合う。ニット好きならずとも、見て、触って、着てみたい、異色のコラボレーションではないか。

「991」は受け継がれてきたニット文化とスタイルを踏襲し、“NEW CLASSIC”をコンセプトとして世界へと発信する佐藤繊維のオリジナルニットブランド。ブランド名は本拠地である山形県寒河江市の郵便番号に由来する。写真のプルオーバーに使われている「RaYS」は同社のオリジナル糸で、有害物質を使用せずウォッシャブル加工を実現、表面の鱗状のスケールをそのまま残すことでウールの機能を維持する夢の素材。素肌に着てもチクチクせず、洗濯もでき、オールシーズン着回せる。今回発表されたプルオーバーは、0から3までの4サイズのユニセックス展開。サイズ3(50サイズ)は、身長が高く手足が長い森岡氏にもフィットするサイズとシルエットに仕上げている。色はアイボリー、ブラウン、ライトグレー、チャコールの4色。サイズは0、1、2、3の4サイズで、0はレディースのMサイズ相当。¥31,900(税込)

手袋やマフラー、ストールなどに使われている「Sultan」は、佐藤繊維が開発したウール糸で最上位に位置する素材。カシミアよりも細い14.5〜14.8ミクロンの繊細なウールから生まれる編み地は極上の柔らかさをもち、エレガントで上質な味わいをもたらす。「Sultan サルタン グローブ」ブラウン、ダークブルー、チャコールの3色。¥12,100(税込)

ブラウン、ダークブルー、チャコールの3色で展開される「Sultan サルタン マフラー」¥20,900(税込)

同じくブラウン、ダークブルー、チャコールの3色で展開でされる「Sultan サルタンストール」¥23,100(税込)

佐藤繊維 セレクトショップ「GEA」 https://www.gea.yamagata.jp/