木彫りの町で弟子入り体験! 新たな地域活性のカタチとして注目、「Bed and Craft」の最新形。

  • 文:小長谷奈都子

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石蔵2階のベッドルーム。石川県の小松で採れる日華石は暖色でやわらかな印象。「マイギャラリー制度」は宿泊料の一部から作家に作品のリース料を払い、ゲストは作品を買い取ることができるシステム。

「Bed and Craft(ベッドアンドクラフト)」は、日本一の木彫刻の町として知られる富山県南砺市井波でスタートした新しいスタイルの宿泊施設。町に点在する宿泊棟に泊まりながら、地元の“職人に弟子入りできる宿”がコンセプトだ。10月1日、6棟目の宿として「BnC RoKu(ベッドアンドクラフト ロク)」が新たにオープンする。


リノベーションで宿に生まれ変わったのは、町の目抜き通りである八日町通りの入り口に位置する元診療所。江戸時代に活躍した加賀の北前船廻船問屋の別邸が、昭和初期に移築され、井波の宮大工により北陸の銘石・日華石を用いた石蔵が増築されたものだ。ベッドアンドクラフトでは、職人の技術をもちながらも作家として活動をしているクリエイターが、それぞれの宿を自らの作品と見立てて空間を彩る「マイギャラリー制度」を採用。ベッドアンドクラフト ロクのメイン作家となるのは、若手作庭家の根岸新さん。日華石の蔵からインスピレーションを受け、既存の庭に多く残されていた銘石・伊予青石を空間の内外に配置。滞在中どこにいても、自然の力強さや造形の美しさを感じることができる。野山の木々を配したプライベートガーデンには、火鉢や瓦などが見え隠れし、建物の歴史を偲ばせる。

総檜造りの古民家をリノベーション。RoKuという名前の由来は、伊予青石の別名・緑色片岩や石の英訳のロック、緑(ロク)などから。

ロクのオープンに合わせて、新たな弟子入りワークショップ「木のみちのり自転車旅」が加わった。木材の目利きである銘木店や彫刻道具の専門店、彫刻師の工房など、自転車で木の匠たちを巡りながら、道中に職人気分を味わえる体験を織り交ぜる。


ただ旅するだけでは得られない、伝統のものづくりに直に触れ、理解を深められる実体験が、ベッドアンドクラフトのいちばんの魅力。ゲストと職人をつなぐスタイルは、各地で埋もれつつある伝統工芸に光を当て、活性化させるロールモデルとなっていきそうだ。

大きな伊予青石をテーブルとして取り入れた1階のシアタールーム。200インチの超大型スクリーンとサラウンドオーディオで、好きな映画などを楽しめる。

少人数制の弟子入りワークショップでは、職人の工房で直接指導を受けながら木彫りスプーンや漆の箸づくりに挑戦。実施中のワークショップについては予約時に要確認。

Bed and Craft RoKu|ベッドアンドクラフト ロク
富山県南砺市山見1001
TEL:0763-77-4138
宿泊料金:1名¥17,000〜(2名利用時、朝食込、税込)
子供料金:3歳〜12歳は3割引。3歳未満は添い寝・食事なしの場合無料。
割引:2泊以上10%オフ、4泊以上20%オフ、6泊以上30%オフ(一部プランを除く)
https://bedandcraft.com