瀧本幹也×京都・妙満寺。名庭「雪の庭」をオマージュした圧倒的写真空間に没入せよ。

  • 文:馬庭あい
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『SNOW MOUNTAIN #01』。究極にまでディテールを削ぎ落とし抽象化することで、雪山の強靱な美を表現。雄大な自然の美を表現する「枯山水」の世界にも通じる。SNOW MOUNTAIN #01 / LAND © 2020 Mikiya Takimoto

広告写真をはじめ、近年は映画の撮影も手がけるなど第一線で活動を続ける写真家・瀧本幹也。2020年 9月19日からスタートする『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020』アソシエイテッド・プログラムの一環として、京都・妙満寺で大型個展『CHAOS 2020』を開催する。

関西初となる大規模個展の舞台は「寺」。江戸時代から高い評価を得てきた妙満寺の名庭「雪の庭」をインスピレーションの起点とし、雪をテーマに作品展示を行う。「雪の庭」に隣接する大書院を現代の世界に見立てながら、「枯山水」のように、作品の自由な解釈や鑑賞を楽しめる空間を作り上げている。

約30点の写真作品、映像作品、アートインスタレーションなど展示は多岐にわたり、書院特有の自然光とほの暗さの調和がそれらを美しく際立たせる。“陰翳礼讃”の世界に浸りながら、その写真空間を全身で体感できるはずだ。

『LAND antarctica』。水墨画を彷彿させる強いコントラストが印象的な一枚。これは現実か異世界か、山の頂きか未知なる惑星か。そのカオスは禅問答のように見る者に問いかけ、思考を撹拌する。LAND antarctica / LAND SPACE © 2009 Mikiya Takimoto

襖絵『SNOW MOUNTAIN』イメージ。

また、京都市内のギャラリースペース、スフェラにて、瀧本幹也写真展『LAND SPACE 2020』も同時開催される。『LAND SPACE』は、原初の地球を表現した「LAND」と、最先端文明の象徴である宇宙産業を捉えた「SPACE」という一見対極にある2つの視点から地球を俯瞰した瀧本の代表作だ。本展ではこれに未発表作品を加え、『LAND SPACE 2020』として発表する。

2つの個展から写真家・瀧本幹也の現在地を探り、その写真世界に深く没入したい。

『SPACE #20』。人間社会と彼方の宇宙をつなぐ最先端文明。そのリアリティや造形美を捉えた「SPACE」シリーズの一作。SPACE #20 / LAND SPACE © 2020 Mikiya Takimoto

『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020』アソシエイテッド・プログラム
『CHAOS 2020』
開催期間:2020年 9月19日(土)〜10月18日(日)
開催場所:妙満寺 大書院
京都府京都市左京区岩倉幡枝町91
開館時間:9時〜16時30分
会期中無休
拝観料:一般¥500(税込)
http://myomanji.jp

『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020』アソシエイテッド・プログラム
『LAND SPACE 2020』
開催期間: 2020年 9月19日(土)〜10月18日(日)
開催場所: Sfera
京都府京都市東山区縄手通り新橋上ル西側弁財天町17スフェラ・ビル2F
開館時間:12時〜18時
休館日:水、木
入場料:¥500(税込) ※KYOTOGRAPHIEパスポート提示で¥200