虎ノ門から横浜まで続々誕生、お酒好きなら訪れたい「都市型蒸留所」とは?

  • 文:西田嘉孝
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「酒食堂 虎ノ門蒸留所」は、今年4月に蒸留免許を取得したばかり。現時点では日本で最も新しいクラフトジンの蒸留所だ。

近年、日本でも話題のクラフトジン。とはいえその多くが地方でつくられているため、ジンの仕込みや蒸留風景を見たことある人は少ないかもしれない。一方、アメリカのシカゴやロサンゼルス、オーストラリアのシドニーをはじめとする海外の都市では、ジンなどの蒸留所を併設したパブやレストランが街中に数多く存在する。そんな「都市型蒸留所」のトレンドが日本にも到来。東京のオフィス街や横浜に続々とオープンしている。


酒食堂 虎ノ門蒸留所──オフィス街で楽しむ、爽やかな「ジンハイボール」

そのうちのひとつ「酒食堂 虎ノ門蒸留所」があるのは、今年6月にオープンした虎ノ門ヒルズビジネスタワー内の「虎門横丁」の一角。バーコーナーと食堂がゆるやかにつながる広い店内の入り口では、ガラス張りの蒸留室が客を迎えてくれる。

真新しい蒸留器は、わざわざオーダーしたというカスタムメイドのハイブリッド式。「コンセプトは『東京ローカルスピリッツ』。東京でつくられたジンを日常酒にしたい」と話す蒸留責任者の一場鉄平さんは、岐阜県郡上八幡(ぐじょうはちまん)のアルケミエ辰巳蒸留所で数カ月に渡る修行を積み、蒸留家としての腕を磨いた。

ジンのベースとなるスピリッツは、東京・八丈島の麦焼酎だ。レギュラージンの「COMMON(コモン)」は、ジュニパーベリーに加えてチコリの根を使用。ほかにも青梅で収穫したウメや岐阜産のカモミールなど、東京を中心に日本各地から届くボタニカルを使って蒸留されたシーズナルジンが、季節ごとにメニューに並ぶ。店でお勧めのドリンクは、かち割り氷と強炭酸にジンを注いだ「ジンハイボール」。トニックウォーターでつくるジントニックよりもすっきりとした飲み心地で、食事にもよく合う。東京のオフィス街で飲む、日常酒としてのクラフトジン。その新たな魅力にどっぷりハマらせてくれそうな、注目のスポットだ。

店頭でも販売されるレギュラージンの「COMMON(コモン)」500ml 各¥5,500(税込)

左から、季節のシャーベットをジンハイボールと合わせた「ジンシャリ サワー」¥990(税込)、「ジンハイボール」¥880(税込)、「ジンモヒート」¥1,078(税込)

蒸留室を囲うようにカウンターを配置。ジンを楽しみながら、蒸留する様子を見ることができる。

常陸野ブルーイング──東京蒸留所秋葉原の高架下に誕生した、ジンやビールを楽しめる実験室。

表通りからも見えるように配置された、ドイツのチーマン社製のハイブリッド式蒸留器。

秋葉原駅と御徒町駅間の高架下に2019年12月に開業した、商業施設「SEEKBASE AKI-OKA MANIFACTURE」。オーディオやカメラ、ホビーなどの専門店を擁するこの施設の秋葉原駅寄りのエリアにオープンしたのが「常陸野ネストブルーイング東蒸留所」だ。運営元は米焼酎やワインをつくる歴史ある酒蔵であり、フクロウがトレードマークの「常陸野ネストビール」でも知られる木内酒造。開放的なレストランスペースと、小型の仕込み釜が並ぶビールの醸造エリア、そしてドイツのチーマン社製のハイブリッドスチルが設置されたジンの蒸留エリアに分かれた店内は、どの場所も自由に立ち入ることができる。

東京蒸留所で蒸溜したスピリッツのほかに、木内酒造が運営する茨城県那珂市の額田蒸留所でつくられたウイスキーも店内で楽しめる。写真は3種のウイスキーの原料や樽の違いを楽しめる「試飲セット」¥1,280(税込)

木内酒造では、2016年からウイスキーづくりにも挑戦。20年には茨城県の八郷(やさと)で本格的なウイスキー蒸留所を稼働させた。東京蒸留所では、そんなウイスキーのニューメイクやビール、焼酎など自社で生産するさまざまな酒を、ジンを蒸留する際のベーススピリッツとして使用。また、ビールづくりに欠かせないホップや、昆布やユズといった和の食材などあらゆるボタニカルを使うことで、多様な味わいのジンを生み出している。

ここでつくられるジンやオリジナルリキュール、ビールに加えて、日本酒、ウイスキーまでが楽しめるレストランでは、茨城のブランド豚を使ったソーセージや常陸牛のステーキをはじめ、自家製にこだわったフードメニューも充実。お酒好きなら間違いなく楽しめる、実験室のような都市型蒸留所だ。


ナンバーエイト・ディスティラリー──横浜の新名所にある、日本初の都市型蒸留所。

容量100ℓと極小のハイブリッドスチル。仕込みから蒸留、ラベルの手貼りまで、バーテンダー兼蒸留責任者の深水稔大さんがひとりで行う。

世界に開かれた海の玄関口として2019年10月にオープンした横浜ハンマーヘッド。同施設にあるレストラン「キーズ パシフィック グリル」内で操業するのが、日本初の都市型蒸留所「ナンバーエイト・ディスティラリー」だ。ニューアメリカン&クラフトをコンセプトとしたレストランの1階には、ビール醸造所やコーヒーの焙煎所も併設。蒸留所は2階のバーカウンターの奥にあり、人ひとりがようやく作業できるくらいのスペースに、スペインのアーノルドホルスタイン社製のハイブリッドスチルが設置されている。

ここでつくられているのは、「ナンバーエイトジン」のみ。ジュニパーベリーのほか、神奈川県産のミカンや生ホップ、コーヒー豆、アボカドの種など8種類のボタニカルを使用した、爽やかな柑橘の香るバランスのよいクラフトジンだ。

お勧めは「シグネチャージントニック」。ロックスタイルのジンとともにイギリスのプレミアムトニックウォーター「フィーバーツリー」が供され、飲み手が好みの濃さで仕上げる。つまみは、ハンバーガーや魚介を使った料理が好評だ。横浜生まれのクラフトジンの味わいを、堪能してほしい。

2階のバーカウンター奥にある蒸留所。タイミングがよければここから蒸留工程を見学できる。

酒食堂 虎ノ門蒸留所
東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワ 3F 虎ノ門横丁
TEL:03-6205-7285
営業時間:11時~15時、18時~22時
無休


常陸野ブルーイング 東京蒸留所
東京都千代田区神田練塀町13-1 SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE
TEL:03-3527-1977
営業時間:11時~22時30分L.O.(月~土)、11時~21時30分L.O.(日、祝)
定休日:SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTUREに準ずる
http://hitachino.cc/tokyodistillery


ナンバーエイト・ディスティラリー
神奈川県横浜市中区新港2-14-1 横浜ハンマーヘッド 1・2F キーズ パシフィック グリル内
TEL:045-900-0310
営業時間:11時~22時(月~木) 11時~23時(金) 8時~23時(土) 8時~22時(日)
無休
http://quayspacificgrill.jp