いま京都で最も話題のレストランといえば、間違いなく2019年7月9日にオープンしたばかりの「ルーラ」です。オーナーは、シェフのジェイカブ・キア、ゼネラルマネージャーの宮下拓己、ミクソロジストの堺部雄介の3名。世界各地を渡り歩き、それぞれキャリアを積んできた彼らが、ニュージーランドのレストランで出会い、京都から世界に挑戦したいと、この店を立ち上げました。
「京都を選んだ理由は、大原など旬の食材を身近に感じられる環境と、伝統工芸の職人さんが多く、カルチャーを発信する際にウソがなく伝えられる場所だと思ったからです」と宮下は語ります。店舗は、築130年ほどの町家をリノベーションした一軒家。梁や柱はそのままに、町家の雰囲気を残しながら、モダンであたたかみのある空間に仕上げています。
店の核となる料理は、アメリカと日本にルーツをもち、コペンハーゲンの「ノーマ」でも研鑽を積んだキアがつくり上げる独創的なもの。大原の旬の野菜やその日港に揚がった新鮮な魚介類など、すべて自分たちで産地を訪れて厳選した素材を、キルン(窯)とピザ窯という2種の薪火を使い分けて調理し、発酵や燻製などで風味や奥行きを添えています。それぞれの皿は驚くほど手間暇をかけられており、緻密に計算されていながら、自由で伸びやか。素材の旨みや味わいをダイレクトに感じられます。汲み上げ湯葉に発酵トマトの冷製スープを合わせたり、キルンで丸焼きした賀茂茄子にヨーグルトとコリアンダーのソースが添えられたりと、京都定番の素材への独自のアプローチも新鮮です。
ノーマで研鑽を積んだシェフによる、 薪火を使った独創的な料理。
コースは前菜3品と、ドリンクペアリングがつく5品、デザート2品の計10皿。ペアリングを担当するのは堺部と、東京の「マルタ」からドリンクプロデューサーとして迎えた外山博之。アルコールはワインや日本酒、ジン、ビールなどをラインナップ。ノンアルコールもリンゴをシャンパン酵母で発酵させたシャンパンのようなジュースや、柚子を発酵させて日本茶やアップルミント、コリアンダーを合わせたカクテルなど、料理や食材に寄り添うように一杯一杯完成されているのが特徴です。
揺らめく炎に薪の爆ぜる音、窯から漂ってくる食材の芳しい香り、スタッフたちの流れるようなコンビネーションと和気藹々としたムード……。五感を刺激し、ライブ感たっぷりに過ぎてゆく約3時間は、新しい食体験への誘いです。「ブームでなく、カルチャーをつくる」「ここでの体験を通して、日本や京都の伝統や文化、季節を感じてほしい」。明確なコンセプトのもと始動したプロジェクトは、早くも訪れる人々を魅了しているようです。
ルーラ
LURRA°
京都市東山区石泉院町396
TEL:050-3196-1433
営業時間:17時30分〜23時30分
(17時30分からと20時30分からの一斉スタートのみ)
定休日:日、月
www.lurrakyoto.com
※HPより要予約