喫茶や語学講座まで! 10カ国の隣人たちの日常に触れる、アーティスト・北澤潤の展示が面白い。

  • 撮影・文:及位友美

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インドネシアのブースに立つ参加者。インドネシアでポピュラーな、粉末を水で溶かして飲むジュースが1NLで購入できます。※1NL(ネイバーズ・ランド・コイン)=¥100(税込)。会場内のみで使える。

地域へのリサーチをベースとしたプロジェクト型の作品を手がけ、国内外で活躍する若手アーティストの北澤潤さん。現在、YCC ヨコハマ創造都市センターでは『ネイバーズ・ランド』と題した彼の展覧会が2018年6月10日まで開催されています。展覧会といっても、絵画やインスタレーションなどが展示される従来の形式ではないスタイル。10カ国を超える横浜在住の外国人が参加し、それぞれの故郷の店や家などをブースとして再現することで、小さな街のような空間をつくりだしています。

北澤さんはこれまで、国内外約30もの地域で、中長期的なフィールドワークを通じてコミュニティにかかわるプロジェクトに取り組んできました。今回も、数カ月にわたって横浜市に住んでいる外国人の日常をリサーチしたそうです。この企画にはどのような思いが込められているのでしょうか。

「国際交流基金のフェローシッププログラムをきっかけに、ここ2年ぐらいは日本とインドネシアを行ったり来たりしているのですが、自分はどっちの文化に属しているのだろう?という気持ちになることがありました。インドネシアでは、熱帯の気候に左右されるなど予定通りに物事が進まないのが普通だったり、人との距離が近かったりと、日本とは違う日常があります。僕にとっては日本かインドネシアかのいずれかではなくて、その“間にある”状態がリアルでした。自分の身体の中に両方の国があるような感覚です」

そんな北澤さんの思いが反映されたこの展覧会。インドネシアやアメリカ、インドなど各国のブースでは、フードやドリンクの販売や、ものづくり、語学講座などさまざまなイベントが体験できます。普段はなかなか出会えない“隣人たち”の日常に、触れてみませんか?

インドのファミリーレストランを模したブース。1NLで手づくりチャイ教室を体験できます。

左は新聞や雑誌があふれんばかりに並べられたイタリアのキオスク「EDICOLA」、正面奥にはパキスタンの田舎のキッチンをイメージしたブースがあります。

左はフィリピンのブース「BELIA STORE」。フィリピンのお菓子などが購入できます。会場内はさまざまな国の人たちが行き交い、‟日本ではないどこか”といった様相です。

アーティストの北澤潤さん。アメリカのブース「MAN CAVE」を前に、本展への思いを語ります。

YCC Temporary 北澤 潤 『ネイバーズ・ランド』

開催期間:2018年4月27日(金)〜6月10日(日)
開催場所:YCC ヨコハマ創造都市センター 3F
神奈川県横浜市中区本町6-50-1
TEL:045-307-5305
開場時間:15時〜20時(木、金) 12時~20時(土、日、祝)
休廊日:月、火、水
入場料:¥500(税込)
※会場内で実施されるイベントへの参加費や物品の購入には別途料金あり
http://yokohamacc.org/yct/junkitazawa

※会期中は、「ネイバーズ」によるモノづくり講座、語学講座、料理教室、各国の飲料・料理販売、物品販売など、さまざまなイベントを実施