「インクルーシブデザイン」という言葉をご存じでしょうか？　日本語では、排他的の対義語である「包含的なデザイン」、という意味になりますが、要は、従来のマーケティングやデザインではターゲットの外に置かれがちな人々、つまりハンディキャップのある人や高齢者、外国人などを除外せず、彼ら一人ひとりの声をくみ取って、ともに新しいモノを生み出していくという考え方を指します。そうすることで、ターゲットとして中心にいる人たちにとっても、いままで見落とされていた新しい需要を発掘できる可能性があるのです。

ユナイテッドアローズ社は、このインクルーシブデザインをファッションの世界で展開した新レーベル「UNITED CREATIONS 041 with UNITED ARROWS LTD.」を立ち上げました。これは“いまだ解決されていない誰かひとりの課題を起点に、プロダクト・サービスを開発する”プロジェクト「041（オーフォアワン）」を推進する日本テレビ、電通、ジャパンギビング3社のソーシャルユニット、「Social WEnnovators」とのコラボレーションによるもの。2016年に発足し、同ユニットは、これまでにスポーツ分野における“041SPORTS”や、レスキュー分野における “041SOS”などのプロジェクトを手がけてきましたが、ユナイテッドアローズ社の新レーベルは“041FASHION”プロジェクトの中核のひとつとなるものです。

新レーベルのアイテムは、受注数が生産最低ロット数に達したアイテムのみ生産するクラウドファンディングスタイルで販売されます。第一弾として6アイテムが発表され、2018年4月12日から「Social WEnnovators」が運営する041のウェブサイトで受注が開始されています。容易に着脱やアレンジができ、なおかつファッショナブルなアイテムは、ハンディキャップをもたない人にとっても魅力的なデザイン。ユナイテッドアローズ社、上級顧問の栗野宏文さんは「人が洋服を買う理由は、それが自分にとって大事かどうか、着て楽しいかどうかで、その原点はオーダーメイドだと思います。041のアイテムは『ワン』の方はもちろん、他の『オール』の人にも着てもらいたい」と語ります。生まれたばかりのこの新しいレーベルから、今後どのような新しいファッションが生まれていくのか、要注目です。