カプセルホテルの常識を変えた「ナインアワーズ」が、建築家と手を組んでさらに進化しました。

  • 文:山田泰巨

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C字型の中庭を取り囲んでスリーピングポッドが配置された「ナインアワーズ竹橋」。photo: Nacasa & Partners

安く泊まるための宿泊施設というイメージが強かったカプセルホテル。そこにホスピタリティとデザイン性をもち込み、既存のイメージをがらりと変えたのが「ナインアワーズ(9h)」です。日本生まれのユニークなホテルはもともと海外からの旅行者にも人気が高く、海外の空港には似たような施設も生まれています。もちろんナインアワーズは若い世代や女性にも大人気。これまで既存の建築を宿泊施設へとリノベートしていましたが、ついに建築家とともにイチから建築からつくりあげるナインアワーズが産声を上げました。

3月末にオープンした「ナインアワーズ竹橋」は、建築家の平田晃久さんが設計。皇居のお堀端に近いことから、建築そのものもお堀を囲うような吹き抜けの空間をもつCの字型の構造を採用したそうです。中央の吹き抜けに階段、それを取り囲むようにスリーピングポッドを配置しています。屋上に植栽をもつテラスを設置するなど、建築からつくることでナインアワーズのカプセルホテルはさらなる進化を遂げたようです。皇居に近い立地の特色を考えて初のランニングステーションを設置。シューズロッカーの提供やランニングウェア、シューズのレンタルサービスも行います。東京で暮らす人にはもちろん、出張時に走りたいランナーにとっても朗報ではないでしょうか。これに続き、5月には赤坂に新たなナインアワーズが開業します。こちらも平田さんの設計で、「街に開いたカプセル」というアイデア。建築的にも野心的な試みとなりそうです。

昨年12月、ナインアワーズは、サウナとリユースのカプセルユニットを使った姉妹ブランド「ドシー(℃)」を、建築家の長坂常さんとともにスタート。さらに建築家の芦沢啓治さんがやはり建築をイチから設計するナインアワーズも開業を控えています。カプセルホテルをベースとした新しい宿泊の形に、さらなる注目が集まりそうです。

「ナインアワーズ竹橋」は竹橋駅より徒歩5分の地に立つ新築のビルです。photo: Nacasa & Partners

吹き抜けの採用でカプセルホテルの閉鎖的な印象が大きく変わった「ナインアワーズ竹橋」。photo: Nacasa & Partners

「ナインアワーズ竹橋」の最上階には植栽を配したテラスも完成。ランニングの拠点としても活躍すること間違いなしです。photo: Nacasa & Partners

ナインアワーズ竹橋

東京都千代田区神田錦町3-11-15
TEL:03-5217−0017
チェックイン:13時〜 チェックアウト:10時〜
客室数:129室(男性76室/女性53室)
宿泊:¥4,900~
仮眠:¥1,000(最初の1時間。以降は1時間毎に¥500。利用可能時間13時~21時)
シャワー:¥700(利用は1時間以内。24時間利用可)

https://ninehours.co.jp/