岡本太郎の『太陽の塔』がいま甦る! 48年ぶりに公開される塔の脈打つ内部を目撃せよ。

  • 文:脇本暁子

Share:

高さ約41mの『生命の樹』。さまざまな生物の模型で、進化の過程をたどる展示です。最新の照明技術を使い、真っ赤な壁が脈打つように光る演出は迫力満点。

1970年、大阪で開催された日本万国博覧会のテーマ館の一部として建設され、芸術家・岡本太郎の傑作のひとつである『太陽の塔』。当時、大阪万博を見に行った人は、丹下健三が設計した会場建物の大屋根を突きぬけるように屹立した姿が、眼に焼き付いているかもしれません。大阪万博終了後も、太陽の塔自体は残されていましたが、塔内は長らく放置され、内部も非公開でした。しかし、2018年3月19日に48年ぶりに一般公開を開始。耐震工事を経て塔内が修復され、半世紀の眠りから目覚めたのです。

太陽の塔は4つの顔をもちます。正面上部の金色に輝き未来を象徴する「黄金の顔」、胴体部分の現在を象徴する「太陽の顔」、背中の過去を象徴する「黒い太陽」。そして万博終了後に忽然と行方知れずとなった第4の顔「地底の太陽」……。これらが半世紀ぶりに復元され、公開されたのです。

かつて、岡本太郎は「『生命の樹』は太陽の塔の“血流”であり、内壁の襞は“脳の襞”だ」と発言しましたが、塔の内部は真っ赤に染められ、高さ約41mの『生命の樹』が屹立しています。そのオブジェを中心に回遊するように、単細胞生物から魚類、恐竜、人類が誕生するまでの生命の進化が183体の生物の模型で表現され、地階から最上階まで階段を昇りながら眺めることができるのです。48年の月日を経て、いまなお鮮烈な存在感を放つ塔の全貌を、ぜひ目撃してください。

地階にある塔の第4の顔「地底の太陽」。径約3×幅約11mなオブジェです。万博終了後に行方不明になりましたが、当時の写真を手がかりに再生されました。

最上階からは、太陽の塔の腕部分を見ることができます。螺旋を描くように鉄骨で組まれた、幻想的な光景です。

『太陽の塔』

公開場所:万博記念公園
大阪府吹田市千里万博公園
TEL:0120‐1970‐89
入場料:一般¥700(税込)
※入場は下記公式サイトで要予約。別途、万博記念公園自然文化園の入園料が必要。一般¥250(税込)
http://taiyounotou-expo70.jp