オープンから早くも入館者数10万人(!)を超えた、話題のすみだ北斎美術館で、オープニング記念第2弾の展覧会「すみだ北斎美術館を支えるコレクター」展が始まりました。
寿ぎを終え、当美術館の基盤ともなる二大コレクターの作品から、前後期展示替えで選りすぐりの約130点がお披露目されます。ひとりは、欧米で最高・最大の北斎の個人収集家といわれ、北斎の研究者であったピーター・モース。大森貝塚を発見したエドワード・モースの血縁でもある彼のコレクションは、生涯にたびたび画号を変えた北斎の主要な時代のものをすべて含み、その画歴の全体像を見渡せるのが特徴です。世界的にも希少なものが多く、その摺りの状態のよさで定評を持つこれらは、散逸を惜しんだご遺族がこの美術館設立の計画に理解を示し、嬉しい所蔵となりました。
もうひとりは、趣味のものとされていた浮世絵を学問的に位置づけることに尽力した日本の美術史家・楢﨑宗重。戦後間もなく『北斎論』を著し、海外の浮世絵作品の調査結果を『在外秘宝』として刊行した彼のコレクションは、研究者らしい視点で、日本・中国の古美術から近世の絵画・版画、そして近代の作品まで幅広く、日本美術の中に浮世絵を、ひいては北斎を見られる内容となっています。やはり美術館設立に賛同し、その収集や評価の指導もして、コレクションが寄贈されたそうです。
会場は各コレクションをフロアで分け、彼らが残した言葉とともに作品を観ることで、共通する収集の情熱と喜び、異なる収集の方向性がともに浮かび上がる構成になっています。
見どころは、やはりそのクオリティです。モースコレクションからは、摺りの状態も抜群の、貴重な北斎版画の逸品たちと、時に劇的に、時にユーモラスに、描き分けの中に彼の天才を感じる版本の数々を。楢﨑コレクションからは、浮世絵の、そして北斎の、背景となり、後継となる多様な日本美術の表現を。
学芸員おすすめの、「二丁掛」といわれる切り分けられる前の摺りのものや、コレクターふたりの交流が感じられる、モースが所持していた楢﨑の書画入りの著作本、著名な実業家から画家、そして楢﨑の名前も見られる、昭和13年発行の「古今東西浮世絵数寄者総番附」など、浮世絵の制作過程やコレクターの姿を感じられるセレクトも注目です。すみだ北斎美術館が誇る名品と出逢える、“あらためまして”の展覧会。まだ行かれていない方はぜひ!
「すみだ北斎美術館を支えるコレクター ピーター・モースと楢﨑宗重 二大コレクション」
~4月2日(日) ※一部展示替えあり 前期:~3/5(日)/後期:3/7(火)~4/2(日)
開催場所:すみだ北斎美術館
東京都墨田区亀沢2-7-2
開館時間:9時30分~17時30分(入館は17時まで)
休館日: 月曜日(ただし3/20(月・祝)は開館、3/21(火)は休館)
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般1,000円
http://hokusai-museum.jp/collector/