『混浴温泉世界』と題し、2009年より別府で行われてきた国際芸術祭が、今年から新しい形でスタートします。その名も「in BEPPU」。今回よりアーティストを1組に限定し、個展形式で開催されるとのこと。その記念すべき一回目は、芸術活動チーム「目」!
目は荒神明香、南川憲二、増井宏文というメンバー。現在開催中、瀬戸内国際芸術祭の小豆島の作品をご存じの方も多いと思いますが、現実にある場所・空間を、非日常的な異世界へと変貌させてしまう、壮大な作品を生み出すチームです。私たちは作品を鑑賞することで、不確かな世界が現実になるような、なんとも摩訶不思議な体験をすることになります。
今回、会場となるのは別府市役所。市役所という場所について、荒神と南川はこう語っています。「市役所では、私たちがこの世界に存在していることを番号や書類として発行し、記録しています。でも、本来は自分の存在って、自分自身の実感や感覚で捉えることができるものだと思うんです」(荒神)。「自分を他者によって証明してもらうための場っていうのかな。制度によって個人の存在を証明しようとすると、他者と自分がすごく近い存在になって、自分自身と遠くかけ離れていくような気がするんですよね」(南川)。
荒神はそんな感覚を、私たちが暮らす「地球」と「宇宙」になぞらえて、“宇宙は遠い存在だが私たちが地面に触れているということは宇宙に触れているということ”と捉え、普段かけ離れているように感じていることでも、見方を変えることで近くに感じられるのではないかと、今回の作品制作へと向かっているそうです。
自分たちの作品を「肉眼に届けたい」と、活動を続けてきた荒神。私たちは彼らの作品を「肉眼」を通して体感し、目に、身体に焼きつけることで、何を感じるのでしょうか。2016年の年末、ぜひ体験したい展示です。(Pen編集部)
『目 In Beppu』
開催期間:2016年11月5日(土)~ 12月2日(金)
開催場所:別府市役所内
大分県別府市上野口町1
問い合わせ先:別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」実行委員会事務局
TEL:0977-22-3560(月~金の 9時~17時)
※ツアー形式による鑑賞(要予約)
http://inbeppu.com