創業400年を迎えた有田焼。“17名”の陶芸作家を訪ねる旅へ出かけてみませんか?

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    2016年は有田焼創業400年。その記念すべき年に、有田の陶芸作家17人の手仕事を紹介する『きんしゃい有田 珠玉の器紀行』が刊行されました。

    “大きな産地を小さな皿を通して見る”をテーマに、昨年刊行された『きんしゃい有田豆皿紀行』につづく第2弾。有田の陶芸作家16人の紹介と、重要無形文化財青磁保持者、中島宏さんのインタビューを掲載しています。作家が個人でてがけるうつわは、量産とは異なりこの世にふたつと同じものはありません。手仕事の詳細を知るほどに、作品の美しさを見るほどに有田焼の魅力を感じられます。

    うつわは、日々使うことでその輝きが増していきます。料理を盛りつけたり、お酒を楽しんだり、花を生けたり。使っていくうちに、いつしか、作家が創作活動をする窯元を訪ねて、作家の想いを直接聞いてみたくなるかもしれません。

    著者は、日本の磁器を深く知ることで日本のモノづくりに対する姿勢や思想が見えてくる、と語っています。モノを生み出し、それを使う人に届けるというシンプルな形の大切な産業を守っていくためには、使う人が産地に興味を持ち、その現場を知り、そしてつくる人たちが使う人たちと出合い、モノを超えたつながりという姿になることが重要です。

    ぜひ、本書を片手に、作家の窯元に出かけてみてください。(Pen編集部)

    百田暁生さんの匠の冴えは、まず器の形に表れている。薄い生地、整ったプロポーションがモダンな印象。淡い水色の釉薬がかけ回され、凛としながらも優しさを感じる白磁だ。

    1616年、朝鮮陶工の李参平が有田の地で磁石場を発見し、磁器を焼き始めた。これが有田焼の起こりだ。十四代李参平はその末裔で、苦労の末に初期伊万里を復活させた。

    葉山有樹さんの作品には気の遠くなるような超絶的な細密画が描かれる。地域調査や歴史研究を小説にまとめ、作品の設計図面とし、そこから湧いてくる情景を絵にするのだと言う。

    『きんしゃい有田 珠玉の器紀行』

    著者/ARITA SELECTIONプロジェクト( 佐賀県有田焼創業400 年事業実行委員会)
    定価: ¥1,728(CCCメディアハウス)
    http://books.cccmh.co.jp

    ※陶芸家16 名の有田焼100 点余の展覧会も開催されます。

    『きんしゃい有田珠玉の器紀行』特別企画展
    開催期間:2016年11 月2 日(水)~ 8 日(火)
    開催時間:10時~19時30分
    開催場所:Bunkamura Gallery
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1
    会期中無休:最終日(11月8日)は17時終了
    http://kinsyai-arita.jp/news/

    ARITA SELECTIONプロジェクトについて

    佐賀県が“世界の有田焼”の実現のために、有田焼の市場開拓、産業基盤整備、情報発信に向けて取組んでいるプロジェクトのひとつ。創業400年という歴史と、妥協のないもの作りを続ける窯元の魅力を伝える。2015年に刊行した『きんしゃい 有田豆皿紀行』(CCCメディアハウス刊)に続き、『きんしゃい有田 珠玉の器紀行』をプロデュース。
    ※「きんしゃい」とは、佐賀地方言葉で、「いらっしゃい」の意。