アシックスが打ち出す第三のブランド、「アシックスタイガー」をご存じですか? 1980年代初期に幾多の傑作シューズを生み出したこのブランドは昨年、復刻モデルと新シリーズを引っ提げて見事に復活を果たしました。「アシックス」を競技用シューズ、「オニツカタイガー」をファッションスニーカーと分類するならば、アシックスタイガーは両者のいいとこどりをした、ハイブリッドな存在。往年の競技用シューズのフォルムを踏襲しつつ、独自の素材使いやカラーリングを交え、アメリカのストリートシーンに広がるファッションの要素を取り入れてアップデートしたブランドです。
9月21日、アシックスタイガーの世界初となる直営店「ASICS Tiger OSAKA SHINSAIBASHI」が大阪の心斎橋にオープンしました。「GEL-KAYANO」や「GEL-LYTE」シリーズをはじめ、スニーカー約100型がフルラインアップで揃う同店では、新たにデザインされたブランドロゴをあしらったアパレル商品も展開。店内に設置されたガードレール、10個のスピーカー、フリーで提供される水のペットボトルを詰めたフリーザーなど、ストリートを意識した店づくりが特徴的です。このコンセプトストアの店舗デザインに携わったアシックスジャパン取締役の庄田良二さんと、デザイン・カラーチームを統括する国分大輔さんに話を聞きました。
「スニーカー選びは、クルマを買うような感覚で」
「ショップコンセプトは、自由の中のこだわり、です。スニーカーを選ぶ時というのは、クルマを買うような感覚で選ぶのがいいと思っているんです。よく、自分のコーディネートはこうだからこういうスニーカーじゃないと、とか言う人がいますが、自分が好きなスニーカーを自由に選べたほうが楽しいはず。たとえばフェラーリを買う時に、自分はカジュアルだからこうじゃないなどと考えないですよね。一方で、アシックスの3つのブランドは見えないところまでちゃんとこだわってつくっているのが特徴です。わたしたちが社内でよく言っているのは、『効率よりも創造性』が大事だということ。アシックスタイガーのスニーカーは、10代の方から50代、60代の方にまで選んでいただいています。年配の方になるほど薄っぺらいものやこだわりのないものからすぐに離れてしまう傾向にありますが、わかりにくいところにまでこだわっていると、ずっと私どものブランドを愛していただけるという信念のなかで、このショップも長く愛されるような環境づくりに努めました」(庄田さん)
「1986年以降、衝撃緩衝材のGELを搭載したシリーズが出てくるなかで、デザイン的にもアイコニックで面白い靴がたくさんありました。そういった、エポックメイキング的なモデルを、いまの世の中に復刻させてリローンチしようというのがアシックスタイガーのブランドです。ですから、基本的にはデザインの根幹の部分はあくまで昔の靴がベースです。そのままリモデルしたものもありますし、昔の靴のデザインエッセンスを引き継ぎながら、最新の技術を盛り込んだものも出てきています。過去のモデルを現代のテクノロジーや素材でつくり直した時に、どういうかたちになるんだろうというところで、デザインのバリエーションが広がっていってる感じですね。たとえば『GEL LYTE』シリーズはもともと長距離ランナー用のシューズで、軽さを追求してつくられています。当時でいうと最先端の技術でつくられているわけですが、いまでいうともっともっと軽くできる。そういった部分を突き詰めていったものが、いまのアシックスタイガーです」(国分さん)
いまのところ、アシックスタイガーの最新モデルが一堂に揃うのは「ASICS Tiger OSAKA SHINSAIBASHI」のみ。心斎橋駅から歩いてすぐとアクセスもいいので、大阪に行く機会があれば、ぜひ立ち寄りたいショップだ。(Pen編集部)
ASICS Tiger OSAKA SHINSAIBASHI
住所:大阪府大阪市中央区西心斎橋1−9−2 心斎橋OPA きれい館 1階
営業時間:11時~21時(心斎橋OPAの営業時間に準ずる)
TEL:06-6282-8060
www.asicstiger.com/jp