糸で織られたデヴィッド・リンチのアート! 鬼才×京都・西陣織のレアなコラボにワクワクします。

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    「SPIRAL」© David Lynch

    上の写真は、デヴィッド・リンチによる2012年のアート作品「スパイラル」。“螺旋” の名の通り、黒雲がぐるぐると渦を巻いているような様子は、彼お得意の心象風景でしょうか。映画を監督して世に送り出すたびに、あいまいで抽象的な表現方法と、解読の難しいストーリーテーリングがいつも賛否両論の的になる、“鬼才” と称されるリンチ。映画と比べると、一枚のビジュアルで示されるアート作品は見る人の心に入りやすいかもしれません。色数を減らした限りなくモノトーンに近い彼の作風は、揺れ動く線やテクスチャーが大きな役割を持っています。

    このリンチのアートが、なんと日本の着物文化の象徴である京都「西陣織」の手法でつくられるというのだから驚きです!その作品が展示される展覧会『DAVID LYNCH meets HOSOO「螺旋状の夢_ 夢見るように目覚める』が、東京・表参道の商業施設「GYRE」内のギャラリー「EYE OF GYRE」にて無料開催されます。

    西陣織とはそもそも、京都の西陣地域でつくられる織物の総称のこと。さまざまな色に染め分けられた糸により、ジャカードと呼ばれるグラフィカルな図案の布が織られます。「友禅」などは布にしてから染める手法ですが、西陣織は糸の交差による立体感が特長ともいえます。今回、リンチとコラボレートする相手は、老舗の「細尾(HOSOO)」。12代目の細尾真孝さんが、作品「スパイラル」にインスパイアされて、新たなチャレンジを行います。京都の老舗といえども、いまや細尾に限らずモノづくりをリードする後継ぎの人たちは40歳前後の若い世代。真孝さんは、「クリスチャン ディオール」「シャネル」らの店の壁紙や、和紙の金糸を織り込んだ「ミハラヤスヒロ」の服地を製作したり最先端モードやアートと深く関わってきました。熟練の職人を抱える細尾にあって、新しい織機(=しょっき)を自社開発するなど、若い感性ならではの未来を見据えた活動を行なっています。

    展覧会で発表される作品は、現代的なコンピュータープログラムを駆使した次世代の西陣織になるでしょう。リンチのねじ曲がった異世界が、現実のタペストリーとなる瞬間をどうぞお見逃しなく。(高橋一史)

    DAVID LYNCH meets HOSOO「螺旋状の夢_ 夢見るように目覚める」

    開催期間:2016年10月7日(金)~11月13日(日) 
    開催場所:EYE OF GYRE(GYRE 3F)
    東京都渋谷区神宮前5−10−1
    TEL:03-3498-6990
    開催時間:11時~20時
    入場無料

    www.hosoo-kyoto.com/
    gyre-omotesando.com/