「トリスを飲んでHawaiiへ行こう!」。そんな昭和時代のウィスキー販促キャンペーンのキャッチコピーを聞くと、自然と、2頭身半のユニークなおじさんキャラが目に浮かぶ男性陣も多いかもしれません。あのサントリーのマスコットだった「アンクルトリス」は、昨年、死去した柳原良平氏が生み出した傑作広告キャラクター。柳原氏は、明るい色調と親しみやすいタッチで、さまざまなイラストや広告デザインを発表し、一世を風靡した画家、イラストレーターでした。どの家庭にもあったアンクルトリス型の爪楊枝入れを覚えているアナタは、確実に昭和世代かも!
その柳原氏の作品約150点を展示する、没後最初の本格的な展覧会「柳原良平 海と船と港のギャラリー」が、横浜みなと博物館で開催されます。
おしゃれでユーモラスな柳原作品といえば、アンクルトリスをはじめとする、色紙を切って制作する切絵が有名。この展覧会では、その切絵を始め、油彩画、リトグラフを中心に、ポスターや装丁などのグラフィックデザインや挿絵、絵本、アニメーション、アンクルトリスのノベルティといった多彩な作品が展示され、柳原氏の画業の全容を通観します。
また柳原氏は、広告ヴィジュアルと並行しながら、子どものころから好きだった船の絵を数多く手がけています。広告の仕事で名を馳せた後も、世界と日本の港を巡って船に乗り、独自のフォルムで描いた楽しい船たちと、居住していた横浜港の風景を描きました。展覧会では「船を描く多彩なスタイル」「自由な表現をもとめて」として、最初の絵本『たぐぼーとのいちにち』(59)の原画から、100号の大作油彩画『飛鳥入港』 (95)、油彩画『クイーン・メリー2』 (04)までを紹介。「海と船と港への思いを拡げていきたい」と語っていた柳原氏が挑戦した「船の美しさ」が、堪能できるのではないでしょうか。
懐かしい広告ヴィジュアルや、柳原タッチを通してみる港や船からは、時代を超えたおしゃれでスタイリッシュなセンスが見えてきます。まさに21世紀の夏休みにぴったりのエキシビジョン。帰りに、軽くウィスキーを一杯ひっかけるつもりで横浜へ出かけてみるのはいかがでしょうか。(幕田けいた)
横浜みなと博物館「企画展 柳原良平 海と船と港のギャラリー」
開催期間:8月20日(土)~ 11月6日(日)
開催場所:横浜みなと博物館特別展示室
横浜市西区みなとみらい2-1-1
開催時間:10時~17時
休館日:月曜日 (ただし、9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館し、それぞれ翌9月20日(火)、 10月11日(火)休館
入場料:¥200、小・中・高校生・65歳以上¥100
常設展の単館券または、共通券でも企画展をご覧いただけます。
横浜みなと博物館常設展示室単館券は一般¥400、65歳以上¥250。小・中・高校生¥200
※帆船日本丸との共通券は一般¥600、65歳以上¥400、小・中・高校生¥300
関連イベント:
「記念座談会 柳原良平の海と船と港の絵を語ろう」
柳原良平氏の多彩な創作活動について、関係者が語る座談会です。
日時:9月17日(土) 14時~16時・会場:日本丸訓練センター(横浜みなと博物館隣)
定員:100名(事前申込制・抽選)・参加費:¥500・申込締切:9月10日(土)必着
「柳原良平の絵で海・船・港の絵本をつくろう」
展示している柳原良平の絵に、海や船、港をテーマにした物語をつけて、オリジナルの絵本をつくります。
日時:9月24日(土)、9月25日(日) ①10時~11時30分 ②13時~14時30分
開催場所:日本丸訓練センター(横浜みなと博物館隣)・定員:小学4年生~中学3年生各回15名(事前申込制・抽選)
参加費:¥500
申込締切:9月13日(火)必着
「アンクル船長の絵を親子で探検しよう」
横浜港を船や陸側から巡って柳原良平が絵に描いた場所を探してみましょう。
日時:10月15日(土) 13時~15時
開催場所:日本丸メモリアルパーク・横浜港
定員:小学4年生~高校生とその保護者30名(事前申込制・抽選)
参加費:¥500
申込締切:10月5日(水)必着
申込方法:往復はがきに住所、氏名、学年、電話番号、行事名、複数回実施の行事は希望日・希望回を明記して、横浜みなと博物館「各行事」係までお申し込みください。