彫刻の世界で“ロダン”を見つめた一人の男、本郷新を知っていますか?

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    オーギュスト・ロダン《考える人》1880年 静岡県立美術館蔵

    19世紀を代表する彫刻家、オーギュスト・ロダン(1840-1917)。その名を聞いて真っ先に浮かぶのは、『考える人』でしょうか。ボリューム豊かな人体、躍動感あふれるポーズ。当初『地獄の門』のモティーフである『神曲』(「地獄篇」)の作者、イタリアの詩人ダンテの姿として生まれた像といわれ、逞しい肉体と深い精神性をあわせ持つ人体表現が高い評価を得、『地獄の門』から独立させた約70㎝の中型像に加え、約180cmの大型像(パリのロダン美術館や上野の国立西洋美術館など世界に21体もあるとか!)と、約40cmの小型像(数は不明)がつくられ、世界中で愛されました。その作品は、いまも見る人の感情を強くゆさぶります。

    札幌の本郷新彫刻記念館で開催中の「ロダン展」では、代表作『地獄の門』の関連作品や、群像『カレーの市民』第一試作など、国内美術館所蔵の22作品が鑑賞できます。(今回出品されている『考える人』のあのポーズは、地獄の門を覗く姿なんですね!)。

    ロダンは、日本の近代美術の黎明期に、彫刻家たちがもっとも影響を受けたアーティストの一人でした。高村光太郎に師事した本郷新(1905-1980)もその一人。本郷の生地で今年35周年を記念するこの展覧会は、ロダン芸術の魅力に加えて、本郷のロダンへ向け続けた深いまなざしをも伝えています。また、会期中の毎週土曜は、一部の作品に手で触れて鑑賞できる企画「ロダンにタッチ」も開催され、親子での鑑賞にもぴったり。美術館周辺は緑豊かな環境で、円山公園の原始林の散策など、爽やかな札幌の夏を楽しむこともできそうです。(深江園子)

    本郷新(1905-1980)

    札幌駅から車で30分の本郷新彫刻美術館。収蔵展をはじめ彫刻の企画展を行う。フランク・ロイド・ライトに師事した田上義也設計の本館、本郷のアトリエ兼邸宅だった記念館の2館。

    本郷新記念札幌彫刻美術館 開館35周年記念

    開催期間:~9月25日(日)
    開催場所:本郷新記念札幌彫刻美術館
    札幌市中央区宮の森4条12丁目 
    TEL: 011-642-5709
    時間:10時~17時、10時~19時30分(8月27日)
    ※いずれも入館は閉館30分前まで
    休館日:月曜(祝日の際は翌火曜)
    料金:一般¥1,000 65歳以上 ¥800 高大生 ¥600 中学生以下無料
    www.hongoshin-smos.jp/