丹後篠山ののどかな里山に誕生したセレクトショップ、「アーキペラゴ」へ出かけませんか?

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    古いJAの穀物倉庫を改装。小菅さんと同世代で、夫婦で設計事務所を営む「スタジオ ドーナツ」に内装設計を依頼。建物の歴史と新しいデザインが絶妙な雰囲気を醸し出している。

    時折聞こえてくる規則的な電車の音と、周囲に広がる豊かな自然。そんなのどかな田舎の風景の中に突如として現れるのが、穀物倉庫を改装したとびきりセンスのいいショップ、「archipelago(アーキペラゴ)」です。

    場所は兵庫県篠山市。JR福知山線の篠山口駅よりふた駅大阪よりの古市駅から徒歩1分のところにあります。店主の小菅庸喜さんと妻の絵里奈さんは、衣食住のセレクトショップでそれぞれ企画・ブランディングとバイイングの仕事に携わっていました。篠山の文化の高さや自然と暮らしの距離感に惹かれ、昨年初夏に大阪からこの地へ引っ越し。そして今年5月に自分たちのショップをオープンしたのです。

    穀物倉庫だっただけあって、天井は高く、がらんと広い造り。四方の壁にぐるりと取り付けられた通気や調湿のための格子が、半分ほどの高さまで白いペンキで塗られ、モダンで凛とした空間を演出しています。ラインナップは、郡司庸久・慶子、鈴木稔など、前職時代より付き合いのある作家の器を中心に、コズミックワンダーの服、暮らしや感性を磨けるような本などなど。ふたりが好きなものばかり、一つひとつていねいに選ばれていることが、店内に流れる心地いい空気から伝わります。

    「古市駅は、篠山の玄関口にあたる駅。このお店も、町へのいい入り口になれたらいいなと思っています。わざわざ来てもらう場所なので、自分たちなりのホスピタリティをもって接客したいです。旅はどんな人と接したかによって変わりますから」と庸喜さん。ふたりも各地を旅して、多くの出合いと縁があり、いまにつながっているのです。

    そして、この地に移住したもうひとつのきっかけとなったのが“丹波焼”です。「いま取り扱っている作家さんとは10年近いお付き合い。丹波焼の作家さんの器はまだ置いていませんが、これからそういう関係を築いていきたいですね」

    レジカウンターには、コーヒーやジュースが飲める席が4席設けてあります。今後テイクアウトメニューも増やす予定で、店内でさまざまなイベントも企画中というから楽しみです。

    400年続く城下町である篠山は史跡や文化財も多く、味わい豊かな食材の宝庫。若いクリエイターの移住地としても人気で、町には古民家を改装した魅力的なショップやレストランも点在しています。そんな篠山への旅、「archipelago」を出発点に、出かけてみてはいかがでしょう? (写真:内藤貞保、文:小長谷奈都子)

    無人駅である古市駅前の大きな倉庫が、おしゃれなショップに変身。

    店内中央のテーブルのディスプレイ。和田麻美子、chikako kojimaの小さな花器、郡司庸久・慶子、尾形アツシの器、井藤昌志のシェーカーボックスなど。

    入り口左手には小さな小窓が。手前の木のオブジェは、同じく篠山に移住した福井守の作。奥は大きな本棚のある部屋で、新書や古書、洋書が、食、デザイン、思想、植物など多彩なジャンルで並ぶ。

    archipelago
    アーキペラゴ

    兵庫県篠山市古市193−1
    TEL :079-595-1071
    営業時間:11時~18時(金~月曜)
    定休日:火曜、水曜、木曜
    www.archipelago.me