クリスト&ジャンヌ=クロードの作品がイタリアの湖に出現! 100万人超が足を運ぶ巨大アートとは?

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    湖畔の街スルツァーノから黄色い道が湖を渡る。クリストは2009年に他界した共同制作者ジャンヌ=クロードと、この地を何度も訪れていた。埠頭は左手奥のサン・パオロ島まで延びる。Photo:Fankie Vaughan

    かつてパリのポン=ヌフを丸ごと布で包み、オーストラリアの海岸を2kmにわたって覆いつくし、ロッキー山脈の谷に巨大なカーテンをかけるなど、風景を一変する壮大な作品で知られているアーティスト、クリスト&ジャンヌ=クロード。いま、北イタリアの湖で、約10年ぶりとなる巨大プロジェクトが姿を現していることをご存知ですか?

    舞台となっているのは、ミラノから約90Kmにある静かで美しいイゼオ湖(Il Lago D’Iseo)です。「The Floating piers」 と名付けられたこのプロジェクトは、湖畔の街スルツァーノ(Sulzano)から、湖に浮かぶモンテ島(Monte Isola)とその周辺に、黄色の布で包まれた浮遊式の埠頭、「フローティングピア」をめぐらせるというものです。

    スルツァーノから島までは直線距離で約500m。澄みきった湖に、黄金色に輝く道が真っ直ぐ延びています。道はさらに湖畔をめぐり、ふたたび湖面へ導かれると、モンテ島の傍にある小さなサン・パオロ島(Isora San Paolo)へとたどり着きます。総延長は約3km。街と島が「ありえない」道で繋がれて、現実とは思えない不思議な光景を現しているのです。

    元々このプロジェクトは東京湾で計画されましたが、自治体などの許可が得られず、残念ながら日本で叶うことはありませんでした。しかし今回は発泡性ワインの産地として知られるフランチャコルタ地方の協力のもと、この地でようやくプロジェクトが実を結んだのです。

    6月18日にスタートした展示期間は、わずか18日間。作品のスケールからするとあまりに短いものですが、これは作家自身の要望であり、その儚さも含めて作品であるといいます。イタリアのみならず、世界中から注目されていたこのプロジェクトは、開始から2日でなんと12万人の来場を記録。期間中の来場者数は100万人を超えると予想されていますから、そのスケールもまさに驚異的です。誰もが作品を楽しめるようにと、入場は無料。昼夜を問わず24時間開場され、実際に子どもからお年寄りまで、世代を超えてあらゆる人々が作品を楽しんでます。作品が設置されているのは7月3日(金)まで。足を運べるという幸運な方は、この機会を逃さぬことを強くお薦めします!(Pen編集部)

    布は特殊なナイロンを使用。プロジェクト終了後、すべてリサイクルされる。Photo:Fankie Vaughan

    湖面に浮かぶ埠頭を人々が渡っていく。埠頭は設置開始から3週間で完成した。Photo:Fankie Vaughan

    スルツァーノの湖畔には、フランチャコルタ協会のブースが設けられている。作品を眺めながら、この地でつくられる発泡性ワイン「フランチャコルタ」を味わうのは、まさに至福。Photo:Fankie Vaughan

    CHRISTO AND JEANNE-CLAUDE
    The Floating Piers
     

    2016年6月18日(土)~7月3日(金)
    Lake Iseo, Sulzano-Monte Isola 
    www.christojeanneclaude.net