端正に、丹念に記録された「幸せのかたち」。ブラジルの移民写真家、大原治雄が残した家族写真に魅せられて。

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    《朝の雲》1952 年、パラナ州テラ・ボア  ©Haruo Ohara/ Instituto Moreira Salles Collections

    移民としてブラジルに渡り、農園を経営しながら、身近な家族や農園風景を撮影した写真家、大原治雄(1909-99)。ブラジル写真界から高い評価を受ける彼の約180作品を展示する、日本初の大規模な個展「大原治雄写真展 ブラジルの光、家族の風景」が開かれます。

    静かなモノクロームの写真で捉えた穏やかな農園。戸外で遊ぶ屈託のない子どもの笑顔。端正な構図が光る写真からは、家族とのささやかな毎日を愛おしむ眼差しが感じられます。おそらく実際には開拓民としての過酷な労働があったでしょう。しかし、そうした苦難は写真に影を落としません。自分たちで土地を切り開き、そこに築き上げた家族との生活を、幸せな形で残し、記録したい。丹念に撮られた写真には、願いにも似た静かな意志が込められているようです。

    何気ない日常も撮影することで、家族の記録が記憶となる。私たちが普段撮る写真にも通じる、写真の普遍的な魅力、素晴らしさを改めて感じる写真展となりそうです。(佐藤千紗)

    《見物人》1961 年、パラナ州ロンドリーナ ©Haruo Ohara/ Instituto Moreira Salles Collections

    《治雄の娘・マリアと甥・富田カズオ》1955 年 / パラナ州ロンドリーナ ©Haruo Ohara/ Instituto Moreira Salles Collections

    「大原治雄写真展−ブラジルの光、家族の風景」

    開催期間:6月18日(土)~7月18日(月・祝)
    開催場所:伊丹市立美術館
    兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20
    TEL:072-772-7447
    開館時間:10時~18時
    休館日:月
    観覧料:一般¥700