伊藤若冲は、言わずと知れた江戸時代の天才絵師のひとり。4月22日(金)より、生誕300年を記念する展覧会が東京都美術館で開催されますが、最大の見どころといえば、東京で初めて「釈迦三尊像」三幅と、「動植綵絵」三十幅が一堂に会する点でしょう。18世紀中ごろ、若冲が両親と自身の永代供養を願い、京都相国寺に寄進した三十三幅は、毎年6月、参拝者にも公開されていたそうです。
明治以降は離れ離れになっていたこの「釈迦三尊像」と「動植綵絵」が相まみえ、その姿を東京で見ることができるのは、当時の人たちの感動を分かち合える貴重な体験です。さらに昨年、幻の名作「孔雀鳳凰図」が83年ぶりに発見され、今回の展覧会で公開されるということに、若冲からの強い思いが伝わってくるようです。
展覧会にあわせて読みたいのが、4月12日に発売されたばかりの本書です。幻の名作「孔雀鳳凰図」も紹介し、「動植綵絵」との関連性を追求。また、A5判という手軽さながら名作・傑作をたっぷりと掲載し、一幅一幅を堪能できます。さらに若冲が挑戦したさまざまな技法から、若冲自身まで掘り下げています。天才絵師であったと同時に、300年経ってなお愛され、尊敬され続ける幸せな絵師、若冲。その理由が見えてくる一冊です。(Pen編集部)
『若冲 その尽きせぬ魅力。』
狩野博幸[監修]
ペン編集部[編]
※雑誌「Pen 史上最強の天才絵師 若冲を見よ。」(2015年4月1日号)をもとに再編集したものです。
ISBN978-4-484-16212-6
定価:本体¥1,800(CCCメディアハウス刊)
http://books.cccmh.jp