民藝の代表格として知られる砥部の焼きもの。丈夫で使いやすく、値段も良心的な日常雑器として普及し、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。かくいう私の実家にも、生まれた時から使っている、使い勝手の良い麺鉢があって、うどんにラーメンにと大活躍でした。
その砥部焼から、白い磁肌に深い青のラインが清新なシリーズ「白青」が誕生しました。潔いほどシンプルな器からは、懐かしさとともに、どこか北欧陶器のようなモダンな印象も受けます。開発を手がけたのは、産地である愛媛県砥部町出身の建築家・ディレクターの岡部修三さん。愛媛県を中心に地域活性事業を手がけるエイトワンとともに、砥部焼協同組合の集まりに参加したことがきっかけで、新しいブランドを立ち上げることになりました。「伝統的な砥部焼の良さを残し、きちんと引き継ぎながら、いまの暮らしに合う、ベースとなる器づくりがしたい」とプロジェクトを始めます。
デザインは昔から砥部でつくられてきた形を元に、手取りが軽くなるようにフォルムを調整。サイズは洋食器のバリエーションを取り入れました。柄はシンプルに呉須で巻く(ラインを引く)パターンと、墨はじきという技法で文様が白抜きにされたパターンの2種類。ベーシックでいて、和にも洋のおかずにも合う、出番の多い器となりそうです。
砥部の磁器は原料に砥石を使っていて、落としても滅多なことでは割れない丈夫さ。高台が高く安定しているくらわんか碗は子ども茶碗にもぴったりです。もちろん食洗機、電子レンジ対応なのも、うれしいところ。気兼ねなく使え、何にでも合わせやすく、あると重宝するデニムのような食器。毎日の食卓にどうぞ。(佐藤千紗)