DJやサックス奏者などをモチーフにした「笛吹」シリーズなど、ユーモラスで遊び心のある器が魅力的な上出長右衛門窯。明治より続く伝統に現代的なセンスを加えた、新たな九谷焼を世に送り出しています。その六代目にあたり、若きクリエイティヴディレクターとして活躍する上出惠悟は、東京芸術大学で油絵を学んだ注目のアーティストでもあります。九谷焼の技法を使った彼の作品は、金沢21世紀美術館にコレクションされるなど高く評価されています。今回、そのアート作品と、上出がディレクションした上出長右衛門窯の仕事、そして先代からつくり続けられている器という3つの世界が一堂に会する「九谷焼コネクション」展が、渋谷ヒカリエにて開催されます。
3つのセクションの冒頭を飾るのは、上出惠悟としての作品。古来より畏怖と敬意をもって、またキャラクターとしても愛されてきた「熊」をテーマにした新作などが並びます。続いて、上出恵悟がデザインしたものを中心とした上出長右衛門窯の作品。「笛吹」や「TEA」など人気シリーズや、スペイン人デザイナー、ハイメ・アジョンとのコラボレーションなど、150点が展示されます。最後に、上出惠悟のインスピレーション源と、できあがった作品を大きな展示棚に収めた「SHOWCASE」が出展されます。古陶磁から招き猫まで、ユニークな収集物からは創作の背景を感じ取れるでしょう。
伝統工芸とアートの境界を行き来しながら双方のエッセンスを汲み上げて、表現に落とし込む上出惠悟。その活動の全貌と伝統に甘んじない批評的スピリットが感じられる展覧会となりそうです。(佐藤千紗)
上出長右衛門窯と上出惠悟「九谷焼コネクション」
開催期間:3月2日(水)~13日(日)
開催場所:渋谷ヒカリエ 8階 8/ CUBE1,2,3
東京都渋谷区渋谷2-21-1
TEL: 03-6418-4718 (8/運営事務局)
開館時間:11時~20時(最終日は18時まで)
入場無料