トレンチコートやオイルドコートに限らず、服飾史に名を残すオーセンティックなアウターの多くが英国を発祥とし、現代においても色褪せない魅力を放っています。しかし、その一方でグローバル化の波はファッションの世界にも押し寄せ、質実剛健なブリティッシュメイドの服飾アイテムの多くが他国で生産されるように。残念ながら、純然たる英国製の服飾アイテムは希少な存在になりつつあります。
そんな中、昔ながらの英国アウターの製法やそこに息づくマインドを現代に受け継ぐ工場として高く評価され、その工場のファクトリーブランドである「プライベートホワイト V.C.」は純然たる英国製であることと素材の生産背景にまでこだわるブランドとして注目が集まっています。数年ほど前から、アメリカのJ.クルーや日本の一部のセレクトショップでも取り扱われ始めていたのでご存知の方もいるかもしれないのですが、そのモノ作りにはとにかく男心をくすぐる要素が満載なので、魅力の一端をあらためてご紹介したいと思います。
「プライベートホワイト V.C.」の工場がマンチェスターで創業したのは、1812年のこと。当初は鉄鋼品を手がけていましたが、イギリスの服飾産業の発展に伴って主にアウターの製造を手がける工場として頭角を表し、現在ではマンチェスターに現存する唯一のアウターファクトリーとなっています。英国製アウターの品質を世界に広める原動力となり、数値や図面に現れないような手仕事のノウハウを蓄積してきた同社の服づくりは、有名ブランドからの評価も非常に高く、いままでにさまざまなブランドの製品を手がけています。
一方、ファクトリーブランドとして手がける自社製品にも、その温故知新なマインドはしっかり宿っています。たとえば、ブランドを代表する製品のひとつである“SB4アンラインド ベンタイル”というアウターは、いかにも英国らしい打ち込みの強いベンタイルコットンで仕立てたもの。水分を吸収すると繊維が膨らみ、防水性を発揮するかつての高機能素材の魅力を存分に楽しめます。加えて、シームにも防水加工が施されるなど、機能的にアップデートされていることも魅力のひとつといえます。
デザイン面に関しては、KENZOやDunhillなどのブランドでデザインを手がけたきたニック・アシュレイが担当しており、タイムレスな佇まいとモダンさのバランス感覚が絶妙。古きよき英国の男らしさと都会的な感性が同居するデザインが、温故知新なスタイルが見直されている現代の気分ともシンクロして、たまらない魅力を放っています。いよいよ本番を迎えたこの冬の即戦力候補として、その機能性と独特の佇まいを試してみてはいかがでしょうか。(遠藤 匠)
問い合わせ先/BRITSH MADE 青山本店
TEL:03-5466-3445