着物に描かれた四季の花々、風呂敷を飾る毬や蝶……。母のそのまた母がまとったであろう美しい絵柄には、「染織」という日本古来の技術が閉じ込められています。細やかな手仕事は、人間の知恵と文化の結晶。その染織の世界が見られる展示会を、女子美術大学にて開催します。
これまでアジアやヨーロッパをテーマに、染織のコレクション展を開催してきた女子美術大学のシリーズ展ですが、11月14日からの展示会では、日本の染織技術にフィーチャーしています。柿渋を引いた和紙に小さな穴を彫り模様を描き、それを型紙として使用する「型染め」では、細やかな作業が特長の「小紋染め」と、色鮮やかな「琉球の紅型(びんがた)」の型紙や染め物を展示。美術大学ならではのコレクションとともに、その華やかな歴史的背景も垣間みることができます。
とくに、女子美でも教鞭をとり民藝運動にも参加した人間国宝の故・芹沢けい介や、その弟子である小島とく次郎の染織コレクションの展示は必見。多くの色を用いながらも、紅型に独特な温かみを持たせた作品の数々は、いまみても新鮮な絵柄ばかりです。さらに江戸時代後期、実際に使われていたという小紋の型紙なども展示され、手作業で彫られた無数の点が絵となる様は、それだけでアートのようです。
会場では、型染めを量産するために開発された「注染」の技法を用いた、手ぬぐいや浴衣、さらに染織をアートに昇華させた作品も展示されます。会期中は、特別講演やワークショップなど、催し物も多数。11月28日(土)、12月12日(土)14時には、担当学芸員が作品の解説をしてくれる、ギャラリートークも開催予定です。(須賀 美季)
『女子美染織コレクション展 Part5』
開催期間:11月14日(土)〜12月20日(日)
女子美アートミュージアム
神奈川県相模原市南区麻溝台1900 女子美術大学相模原キャンパス
TEL: 042-778-6801
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休:火
入場無料
www.joshibi.net/museum
特別講演
「グラフィックデザイナーが語る型紙・江戸のデザイン」
開催期間:11月21日(土)14時〜15時30分
講師:仲條正義(女子美術大学客員教授)、奥村靫正(女子美術大学客員教授)
日本を代表するグラフィックデザイナーが型紙の魅力を語ります。
ワークショップ1
「ふくてがみ -ストール版-」
11月23日(月・祝)13時〜15時
講師:横井理子(慶應義塾大学大学院生)
対象:中学生以上
定員:15名
材料費:¥1500
内容:好きな型紙を使いストールに型染めを施す。そのストールに感謝の気持ちをこめた手紙を書く。
ワークショップ2
「光と影のワークショップ」
12月5日(土)13時〜14時/15時〜16時
講師:クワクボリョウタ(アーティスト)
対象:小学生〜大学生
定員:各回15 名
材料費:無料
内容:型紙を使って光と影がおりなす不思議な空間を体験。
( 特別講演・ワークショップの申し込みについて)
E-mail・Fax・電話のいずれかの方法でお申込ください。定員になり次第締切といたします。①イベント名 ②氏名③電話番号 ④参加人数【お申込・お問い合わせ】女子美アートミュージアムTel:042-778-6801 Fax:042-778-6815 E-mail: museum@venus.joshibi.jp