和菓子の形や名前は古典文学、あるいは季節の移ろいや風景などから考え出されます。そこには日本の文化・歴史・自然の様々な面が取り込まれ、和菓子をかたどる際に使われる菓子木型は、出来上がった菓子と同様に、ひとつの作品として美しいものばかりです。
和食が「日本人の伝統的な食文化」として、ユネスコの無形文化財に登録されてからもうすぐ2年。伝統的な食文化に関心が高まる中、現在和菓子屋で使われている木型が壊れてしまえば修理もままならないというほど、菓子木型を創作する職人は減少しているそう。和菓子という文化を陰から支える存在だけに、菓子木型は注目を集めることなく消えつつあるのです。
そんな現状を受け本展では、繊細な職人技に注目。明治から昭和後期にかけて、虎屋などの名店に木型を納めていた職人、渡邉三次郎さんと渡邉俊夫さんの手による、いわゆる落雁(らくがん)とよばれる粉菓子を作るための木型を紹介します。
日本の食文化への関心につながれば、という願いも込められた今回の展示で、菓子木型の造形を楽しむとともに、それを支える人たちの歴史、その技を存分に堪能してみてください。(Pen編集部)
「菓子木型の造形―職人の技と美」
開催期間:~11月28日(土)
会場:武蔵野美術大学13号館2F 民俗資料室ギャラリー
東京都小平市小川町1-736
開館時間:13時~17時
定休日:日曜日・祝日
TEL:042-342-6006
http://musabi.ac.jp/folkart/