感性を揺さぶる鈴木ヒラクの個展『GENZO』が、MISA SHIN GALLERYで始まりました。

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    鈴木ヒラク「GENZO (Photo) #88」2015 Type C print 21 x 29.7 cm
    ©SUZUKI Hiraku Courtesy of MISA SHIN GALLERY

    ドローイングという手法を操り、平面、インスタレーション、壁画、映像、彫刻からパフォーマンスまで、その領域を拡張しているアーティスト、鈴木ヒラク。今回、「GENZO」と銘打った個展が、白金のMISA SHIN GALLERYで25日からスタートしました。

    個展のタイトル「GENZO」には、現像のほかに、幻像、原像という意味も。「GENZO」シリーズ(2104年~)は、真っ暗なトンネル内に黒い紙とシルバースプレーを持ちこんで、何も見えない状況下で瞬発的に描いたことからスタートした新シリーズ。暗室でネガを現像する写真の行為も想起させます。

    その他、手描きのドローイングをもとにステンレス鋼をレーザーで切り出した新作「Double Eclipse」(2015年)や、世界各地で集めた博物館のカタログ上の写真を、輪郭をなぞり切り抜いてステンシルを作成し、シルバースプレーを施した「Casting」シリーズ(2010年~)なども展示。

    鈴木にとっての“ドローイング”とは、絵と言葉の間に存在する行為。「すでに日常に偏在している記号の痕跡を、点と線に解体し、再配置することで、時空間に新たな回路を生成するための思考や表現」を意味しているそう。そんな彼の手法は、人口と自然、過去と未来、内と外などさまざまな境界を行き来し拡張してゆきます。

    鈴木の作品を見ていると、小さな記号が無数に集まり、無限の宇宙へとぐんぐんひろがっていくような感覚に陥ります。今回の作品は、私たちをどこへ連れて行ってくれるのか? その目と身体と感覚で確かめてみてください。(Pen編集部)

    鈴木ヒラク「GENZO #71」2015 紙にシルバースプレー、シルバーインク 75 x 55 cm
    ©SUZUKI Hiraku Courtesy of MISA SHIN GALLERY

    鈴木ヒラク「Casting #341」2010-2015 博物館のカタログ切り抜き、シルバースプレー 27.2 x 22.7 cm
    ©SUZUKI Hiraku Courtesy of MISA SHIN GALLERY

    鈴木ヒラク「Casting #363」2010-2015 博物館のカタログ切り抜き、シルバースプレー 23.5 x 21 cm
    ©SUZUKI Hiraku Courtesy of MISA SHIN GALLERY

    鈴木ヒラク『GENZO』

    会場:MISA SHIN GALLERY
    開催期間:〜11月7日(土)
    開館時間:12時〜19時(火~土)
    休館日:日、月、祝
    TEL:03-6450-2334
    入場無料
    http://www.misashin.com