土に彫られた穏やかな仏様に癒やされに、「土のお経展」へ。

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    林 友子さんは、土と木を使って額縁や花台、オブジェなどを制作する造形作家です。明日11月1日(日)〜8日(日)まで、かつての縁切寺として知られる、北鎌倉東慶寺で「林 友子 土のお経展」が開かれます。

    林さんの作品に使われる土は、千葉や岩手で採取したもの、沖縄から届くもののほか、陶土、左官材、屋根葺き材などさまざま。作品のテーマに合わせた土選びに始まり、粘土をふるいにかけて材料をつくり、壁面に塗り重ね、磨き、色味とマチエールを積み上げていきます。

    土を塗る木パネルも自らつくり、そして土を盛った平面に文字や仏を彫って作品が生まれます。ひとつの作品にかかる時間は下地づくりから完成まで約3カ月を要するといいます。

    今回は、展示場がお寺ということで、お経をテーマに、証道歌や延命十句観音経などのお経を掘った作品を制作。色土のピースを組み合わせて、浄瑠璃寺摺仏を写した平面作品や、ガラスに土を塗って搔き落とし、文字や仏を描き出した作品も展示されます。土と木を使い、丹念に磨きとマチエールを重ねた作品は、まるで何百年もそこにあったかのうような、深い味わいがあります。
    鎌倉の紅葉狩りシーズンの最中、土で彫られた仏様に会いに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。(阿部博子)

    『証道歌』(850x1155x25mm)
    木パネルの下地に布を貼ったもの。土、砂(茶と黄土)、鉄粉を塗ったものを一文字一文字彫っていきます。

    『花入れ』
    棒状の部分は木地(ナラ)を土、鉄粉で仕上げています。小さな水盤部分は、無垢の銀板を叩いて制作。水盤の木型、デザインは林友子。金工作家・鎌田奈穂さんとの合作。

    『オブジェ』
    ヒノキを彫って木地を形づくり、布を貼った上に土、砂、鉄粉を塗る。表面を彫って、仕上げています。
    鉄 田中潤(SAHI)

    『浄瑠璃寺摺仏写』(420x600x25mm) 
    阿弥陀如来という仏様が100体ならんでいるといい、まるでスタンプのようですが一点一点彫られています。

    「林 友子 土のお経展」

    11月1日(日)〜11月8日(日)
    10時~17時(会期中無休)
    東慶寺 ギャラリー&ショップ
    神奈川県鎌倉市山ノ内1364
    会期中無休
    TEL:0467-50-0460
    http://www.tokeiji.com