いつもしらけた態度の文化系女子・緑(菊池亜希子)と、優柔不断なおぼっちゃまの真生(中島歩)。別れることも考えていたマンネリカップルが子どもを授かり、なんとなく結婚をという流れになります。出産と結婚の準備をする過程で、いままで知ることのなかったお互いの家族や精神的ルーツについて知ることになるふたり。けれど、緑のお腹はどんどん大きくなる一方で、ふたりの関係は劇的には変わっていきません。交わることのない線を描きながら、お互いに勝手に歩いているような、少しずつ本当に少しずつ、歩調を合わせているような。タイトルの『グッド・ストライプス』は、“素晴らしき平行線”という意味なのだそうです。
ドラマティックさとは無縁の作品ですが、なぜか目が離せません。恋人同士だけでなく、家族同士、友達同士、他人同士のすれ違う心が、リアルな会話や微妙な間で表現されます。温度が低めで煮え切らない登場人物たちに、かすかな苛立ちを覚えつつ、それは自分自身のことを見ているような気恥かしさからくる苛立ちだったりします。映画の描写のままではないけれど、よく似た光景を知ってる。というか自分のことだ――そんな場面の連続に、ぐいぐい引き込まれるのです。いわゆる草食系男子の真生を演じる中島歩が、とくにいい味を出しています。ブレイクのきっかけになったNHKの連ドラ『花子とアン』の龍一の、熱さのカケラもありません。
これが長編デビュー作となる岨手由貴子監督は1983年生まれ。イベントとしての結婚ではなく、“人と出会い、その人のパーソナルな歴史を知る”というロマンスを描きたかったと語っています。大団円のない、だからこそリアルなこの映画は、じんわりじんわり、後から心に響いてきます。<めくるめく僕らは出会い ふたたび恋をしていく予感>と歌う、大橋トリオによる主題歌も、そんな映画の雰囲気にぴったりです。(pen編集部)
ドラマティックさとは無縁の作品ですが、なぜか目が離せません。恋人同士だけでなく、家族同士、友達同士、他人同士のすれ違う心が、リアルな会話や微妙な間で表現されます。温度が低めで煮え切らない登場人物たちに、かすかな苛立ちを覚えつつ、それは自分自身のことを見ているような気恥かしさからくる苛立ちだったりします。映画の描写のままではないけれど、よく似た光景を知ってる。というか自分のことだ――そんな場面の連続に、ぐいぐい引き込まれるのです。いわゆる草食系男子の真生を演じる中島歩が、とくにいい味を出しています。ブレイクのきっかけになったNHKの連ドラ『花子とアン』の龍一の、熱さのカケラもありません。
これが長編デビュー作となる岨手由貴子監督は1983年生まれ。イベントとしての結婚ではなく、“人と出会い、その人のパーソナルな歴史を知る”というロマンスを描きたかったと語っています。大団円のない、だからこそリアルなこの映画は、じんわりじんわり、後から心に響いてきます。<めくるめく僕らは出会い ふたたび恋をしていく予感>と歌う、大橋トリオによる主題歌も、そんな映画の雰囲気にぴったりです。(pen編集部)
©2015「グッド・ストライプス」製作委員会