高い機能性とデザインでベビーカーの基準を塗り替えてきた「バガブー」。2月に発表された話題のコラボモデルの詳細を、アムステルダムからリポート。
オランダが生んだポスト印象派の巨匠ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが、1890年に描いた 『花咲くアーモンド』。浮世絵を彷彿させる構図で、あふれる生命感を表現した傑作です。これは、生涯ゴッホを支えた弟テオの息子の誕生祝いとして贈られた絵で、現在ではアムステルダムのゴッホ美術館に展示されています。
「祖父に贈られた名画を、このプロダクトを通して世界の子どもたちに捧げます」そう言って、テオのひ孫にあたるヴィンセント・ウィレム・ヴァン・ゴッホ氏が紹介するのは、キャノピーにアーモンドの花が描かれた芸術的なストローラー。アムステルダムに本社を構えるバガブー社とゴッホ美術館のコラボレーションによる新作は、モチーフとなった名画を前に、両者によって華やかに披露されました。
巨匠の名作と融合した、画期的な機能とデザイン
バガブーは、ベビーカーで知られるモビリティ・ブランドです。妥協を許さない機能性と耐久性、そして人間工学を極めた優れたデザイン性で、同社創設以来ベビーカーというプロダクトの価値観を刷新し続けてきました。子ども数人をキャリーできる大型タイプや、凸凹道にも対応する活動派向けなど、ライフスタイルに合わせて選べる多様なラインアップも特徴。今新作では、アーバンストローラー「バガブー・ビー・スリー」のシャーシが、ゴッホのアートと融合しています。
昨年リリースされた「バガブー・ビー・スリー」は、地下鉄でも便利なコンパクトデザインで、操作感も軽快。前輪の左右振動を防ぐ「アンチ・シミーシステム」で、なめらかな動きを実現。4輪すべてにサスペンションを施し、押す力を効率よくステアリングに伝達するように設計されています。一方、シートには肌触りがやわらかいラミネート式のファブリックを使用。新作のシートは、絵の背景と同じ鮮やかなペトロールブルーで着彩されました。
ゴッホとの共通点は「革新的で妥協知らず」と言うバガブー創設者マックス・バレンブルグが、第1号ベビーカーを考案したのは1994年。当時、女性のための製品と見られていたベビーカーを、男性にも似合うモビリティプロダクトとして捉えた斬新なデザインは高く評価されました。そして構造も、現在のバガブーの原型となる「中心軸」をもつ画期的な仕組みでした。
「誰もこのデザインを採用しようとしなかったけれど、僕には絶対の自信があった。だからたった一人で何年間も改良を重ねてブランドを立ち上げたんだ。生存中は日の目を見なかったヴィンセントに比べれば、僕はラッキーなほうだ」。そう笑うバレンブルグもまた、ゴッホ同様不屈の精神で「名作」を生み出しきたのです。(ユイキヨミ、写真ともに)
問い合わせ先/バガブー ジャパン TEL:03-6434-5339
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