「イッセイ ミヤケ」は日本のトップデザイナーズブランドであり、常にテキスタイルを開発し、ファッションアイテムとして世界に発信するデザイン手法でも知られています。アート界からも高い評価を受ける同ブランドのテキスタイル・ディレクターとして長年活躍してきた皆川魔鬼子が、2000年に立ち上げたブランドが「HaaT（ハート）」。手の温もりが感じられる日本でのテキスタイルづくりにこだわり、インドや南米など世界各国の風土や自然の風景にインスパイアされたアイテムを生産する個性的なブランドです。
天然素材を中心に、染め、織りといった技法を駆使したHaaTが、15年間に渡る活動の集大成として『Heart in HaaT』 テキスタイル展を東京・青山で開催します。服、小物を厳選して、その製造技法とともにご紹介する企画展は、時代を経るにつれ国内でのテキスタイルづくりが難しくなってきた日本の高い技術とオリジナリティに触れる絶好の機会です。深黒染め、泥染め、絞り染めなど伝統の染め技法をはじめ、縮絨（しゅくじゅう）加工、機械刺繍らにより交差する立体的な糸の表情も堪能できます。ファッションが生まれるプロセスを知るにも、美しいテキスタイルを眺めて心を豊かにするにも最適な、この展覧会をお見逃しなく。（高橋一史）