「福祉の常識」を覆す、ピープルデザインをご存知ですか?

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    「意識をデザインする仕事」とは? きっかけは、一人の父親の思いでした。脳性まひの次男が履くのは「装具」と呼ばれる重たい靴で、小さな体でそれを履いて歩く姿は痛々しい。また成長に合わせて買い替えると数年で何十万円にもなってしまう……。
    そこで考えたのが、障害者も健常者も双方が履ける靴でした。大量生産すれば価格を抑えることができるし、誰だってカッコいいデザインの靴を履きたいはず。アシックスとコラボした「プロトコート・ネクスタイド・AR」は、ファッション誌で大きく取り上げられるなど大反響を呼びました。その後も障害の有無にかかわらず、誰もが使えて、何よりも「カッコいい!」と思えるアイテムを数々生み出していきます。このように人びとの意識の中にあるバリアや既存の福祉のあり方をファッションやデザインの力で壊す仕事をしてきたのが、著者の須藤シンジと彼が率いるネクスタイド ・エヴォリューション。提唱する「ピープルデザイン」とその取り組みは海外からも注目され、オランダをはじめとする国内外の大学・大学院で人気の授業となっています。
    2014年春、養護学校を卒業して社会に出た次男は、友人や社会に支えられながら自立して生きていけるのか? 息子を思う一人の父親の思いはいま、NPO法人ピープルデザイン研究所として、マイノリティもマジョリティもすべての人が混じり合って生きていける社会をつくるために、新たな挑戦を始めています。(Pen編集部)

    意識をデザインする仕事
    「福祉の常識」を覆すピープルデザインが目指すもの

    須藤シンジ著 
    定価:本体¥1600+税
    http://books.hankyu-com.co.jp/list/detail/1352/