東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第130回 Bentley Continental GT V8 / ベントレー コンチネンタル GT V8
君よ、永遠にV8エンジンを愛せ! ベントレー・コンチネンタルGTと“最高な人生の見つけ方”

1:3代目となるベントレー・コンチネンタルGT。V8モデルは、W12エンジンに比べ低燃費なのも大きな特徴。
ソリッドな走りが売りのスポーツモデルにとって、軽さは正義。とはいえ、快適なロングツーリングを至上命題にするならば、2トンを超える車重だって正義になる。
その理想といえるのが、ベントレーのコンチネンタルGTですよ。路面の起伏をならすかのように悠然と走りつつ、アクセルを踏めば異次元の加速で遠い彼方へ連れ去ってくれる。そう。まるでドライブシャフトを回し続けるためだけにこんこんとトルク湧き出す魔法の泉。まるで永遠のように至福の時間が続いていく。
モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンの映画『最高の人生の見つけ方』じゃないけど、死ぬ前にやりたいことのひとつとして「コレでお伊勢参りに行きたい」と、心から思わせてくれる訳。「なぜV8エンジンを選ぶのか」という問いに対しては、「夏が好きだから」と答えたい(笑)。
コンチネンタルGT V8に搭載された、4ℓのV8エンジンはとにかく夏が似合うんだ。アクセルを踏めばOHVエンジンから連綿と続いてきた、クラシカルで由緒正しきV8エンジンリズムが響いてくるでしょ。このクルマにオレンジのウッドや白のレザーの内装をオーダーメイドすれば存在それ自体がヴァカンスそのもの(笑)。そもそもベントレーはコンテストヨット社とともにコンチネンタルGT V8をヨットとして再現していたりもして、マリーナとの相性が抜群によいからね。
V8帝国の北米市場で誰もがうらやむ1台
峠の上りでも3000回転を越えずして、ぐいぐい上っていくトルクの太さはツインターボの成せる業。大排気量の自然吸気エンジンのように滑らかに加速、カーブを攻め込めば、4輪駆動のややアンダーステアな重量級グランドツアラーとして、これ以上ないハンドリングだね。路面入力をいなし、ロールを抑える3チャンバー式のエアサスは選んだドライブモードと車速に応じて、臨機応変に足回りを可変させる。その基本姿勢はあくまでもしなやかでドライバー本位。ステアリングを握る昂ぶりを抑えることなく、グランドツアラーとして間口の広さとドライバビリティの精度にこだわるのが、コンチネンタルGT V8の凄みなんだな。
ライフスタイルや好みに応じてエンジンの気筒数とフォルムを選び、好みに合ったベントレーを選択できるのは、グローバル化著しい今どきの英国車。もちろんW型12気筒エンジンはもっと重厚だし、ハイエンドな英国車としての落ち着きにあふれているからね。そのエンジン音は、落ち葉が降り積もり、やがて雪を待つような秋から冬のセンチメンタルな響きがある訳ですよ(笑)。うん。「哀愁のヨーロッパ」的な、ね。
独仏を中心としたEUへの対抗心が英国のブレグジットにつながり、同じ英語圏の北米への親近感も隠せないとも言われているけど、コンチネンタルGT V8に乗ると、その辺が体感的に分かる気もする。ドイツの巨大グループ(フォルクスワーゲン)の集合知をベースに英国のクラフトマンシップを合わせ、V8帝国の北米市場で誰もがうらやむ1台をつくる。夏向きのベントレーが欲しいって?「OKブラザー」って感じでね(笑)。
ステッチの設えが印象的なレザーのインテリア。すべて手作業で組み立てられ、ウッドパネルなどは好み通りにオーダーメイドできる。
クラシカルなサイドシルエットは現代に受け継がれる。初代コンチネンタルGTはアーティストのプリンスも所有していた。
エグゾーストエンドがデュアルパイプになっているのもV8モデルの特徴。
V8モデルならではのレタリング。
●サイズ(全長×全幅×全高):4880×1965×1405m
●動力:V型8気筒ツインターボ
●排気量:3,996cc
●最高出力:550PS/5,750-6,000rpm
●駆動方式:アクティブ4WD(フロントエンジン4輪駆動)
●車両価格:¥26,900,000