短気だが家族想いで男気あふれる、長兄ソニーが履いたコンビシューズ

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    短気だが家族想いで男気あふれる、長兄ソニーが履いたコンビシューズ

    文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一
    イラスト:Naoki Shoji

    フランシス・フォード・コッポラが監督した不朽の名作「ゴッドファーザー」3部作。昨年末、公開から30周年を迎えた『ゴッドファーザー PARTⅢ』を監督自身が再編集した『ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最後』が発表され、大きな話題を集めた。今回は、そんな名画『ゴッドファーザー』シリーズに登場した名品を探してみた。

    モデル名は「ORIENTAL ANDREW」。1947年、奈良県に創業したシューズファクトリーで製作されたモデル。ビスポークシューズの美しさ、履き心地をレディメイドシューズに落とし込んでいる。グッドイヤーウェルトとマッケイ製法をコンビネーションさせた「ベベルドグッドイヤー」製法を採用。アッパーはカーフとディアスキンが使われている。¥60,500(税込)/オリエンタル

    『ゴッドファーザー』(1972年)でジェームズ・カーンが演じたのが、コルレオーネ・ファミリーのドン、ヴィトー(マーロン・ブランド)の長男ソニーだ。カーンはフランシス・フォード・コッポラの古くからの友人で、コッポラは早くからソニー役に起用しようと考えていたという。カーンはこの作品でアカデミー賞にもノミネートされた。

    マリオ・プーヅォが書いた原作『ゴッドファーザー』(ハヤカワ文庫)では「長男は洗礼名をサンティノといい、父親以外の誰もがソニーと呼んでいるのだが、彼は年配のイタリア人連中からは多少ねたましげな、若い連中からは賛美のまなざしを受けていた」と書かれている。いかにもシチリアの男風で、女癖が悪く、真っ直ぐなところもあるが、短気。イタリア出身らしく家族想いで、妹コニー(タリア・シャイア)に暴力を振るコニーの夫、カルロ(ジャンニ・ルッソ)に鉄拳を浴びせることも躊躇しない。街中でカルロを発見したソニーはクルマから飛び出て、カルロを懲らしめる。このシーンでソニーが履いていたのが、白と黒がコンビネーションになった革靴だ。

    白と黒、白と茶などの2色の素材が組み合わされたこのオックスフォード靴の原型は、1840年代のクリケット用に使われていた靴と言われている。1910年代から30年代にかけては紳士たちが競馬観戦の時によく履いていたので、「スペクテイターシューズ」とも呼ばれていた。ソニーが履いていたのはまさにこの靴だ。

    今回紹介するのは、東京・神宮前にあるシューズ専門店「ワールド フットウェア ギャラリー」とシューメイカー「オリエンタルシューズ」が協同でがデザインしたコンビ靴だ。

    映画でのソニーは白×黒のコンビタイプでもストレートチップのデザインを履いていたが、これは同じカラーリングでもウイングチップタイプ。この靴に使われている白い革が本格派で、白い革はスエードではなく、銀面を擦ってヌバックに仕上げたバック(buck=牝鹿)スキンが使われている。鹿革なので靴の屈曲する部分がとても柔らかく、履きやすい。

    ソニーはゆったりとしたグレンチェックのスーツにこのコンビ靴を合わせているが、そんなクラシックなスーツスタイルに絶好の靴だと断言できる。

    カーフとコンビになった白い革には、鹿の銀面を起毛させた、正真正銘のバックスキンが使われている。つま先のライニングにも伸縮性があり、柔らかなディアスキンが使われ、快適な履き心地をもつ。

    美しい仕上げのレザーソール。土踏まずのえぐりを利かせた美しいシルエットだ。

    踵のつくりは小さめで、絞り込まれたデザインなのでホールド感も高い。

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    問い合わせ先/ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店 TEL:03-3423-2021

    https://wfg-net.com