活気と香気があふれ出す開放的な造りも魅力、池袋のレストラン「4 アワーズ」

  • 写真:中庭愉生
  • 文:岡野孝次
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写真:中庭愉生 文:岡野孝次

活気と香気があふれ出す開放的な造りも魅力、池袋のレストラン「4 アワーズ」

4 アワーズ
池袋
各産地から直送された食材
フランス、イタリア産を中心にヴァンナチュールが揃う
覗き込みたくなる開放的な店構え

天元豚は子豚や肥育飼料に抗生物質を添加せずに育てられた、山形県米沢市の銘柄豚。そのスペアリブを低温のオイルに浸けてコンフィにし、ローストして仕上げる。和梨にマスタードを加え煮込んだソースにモスタルダも添えられ、肉の旨味と酸味、甘味が絡み合って、赤ワインを進ませる。「天元豚スペアリブ」¥1,980(税込)。ヴァンナチュールはフランス・イタリアをメインに日替わりで12銘柄が揃い、いずれもグラス¥935〜(税込)で楽しめる。

オープンは、陽もどっぷり暮れた19時から。夜の帳が下りた池袋東通りに面して大きく開かれた入り口には扉がなく、カウンターのみ14席の店内を、外からでも見渡せる。暖かな光を灯して、23時までの4時間のみ営業する「4 アワーズ(4 hours)」は、界隈にレストランなど6店舗を構える「グリップ(GRIP)」が、2020年9月に開業した新店舗。グループ全店舗を統括する女将・北奥京子さんが「グループのイイトコ取りのような店です!」と話すように、同社が全国の生産者と培ってきた美味が凝縮されている。

日替わりで10種ほど揃う、「前菜」という名のメイン級の盛り付けの皿が、品書きの中心を占める。たとえば「北海道 白糠モッツアレラ」は、北奥さんが惚れ込んだ北海道・白糠酪恵舎のチーズに、これも彼女が溺愛する徳島・樫山農園のトマトを合わせたもの。モッツアレラのミルクのジューシーさと、トマトの澄んだ酸味と甘味は、白ワインを誘う味わいだ。また、「メイン」で迫力のボリュームを誇るのが、「天元豚スペアリブ」。山形の生産者直送の骨付き肉をコンフィにしてローストし、甘味を湛えたジャガイモのソテーと一緒に提供する。

バゲットやフォカッチャは、夕方に系列店で焼き上げたものが開店直前に届く。ワインも生産者の顔が見えるヴァンナチュールばかりだ。北奥さんの口からこぼれる、つくり手の物語に耳を傾けながら、美味に舌鼓を打つ数時間。池袋東通りから覗き込めば1枚の絵画のようにも見える空間がもつこのムードも、最高のご馳走だろう。

外壁を横長に四角く切り抜いたエントランス。店内のすべてが額縁に収まったように見え、まるで一枚の絵画のようだ。9時から19時までは、ビストロ「ラシーヌ」で焼くバゲット、クロワッサン、食パンなどが並び、併せて産地直送の野菜やサラダなども販売する「ラシーヌ・ブレッド・アンド・サラダ」として営業。19時から看板を変えて、レストラン営業がスタートする。

南イタリアの伝統的な製法をベースに、日本人好みのなめらかな食感に仕上げたモッツアレラと徳島・樫山農園のトマト。ブラックペッパーにフルール・ド・セル(結晶塩)、シチリア産エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルのシンプルな味付け。「北海道 白糠モッツアレラ」¥1,100(税込)

スパイスの利いた羊肉のソーセージは、脂身は少なく赤身を多く練り込んだ自家製シャルキュトリー。肉ダネに空気を適度に含ませて、ふわふわの食感にする。南池袋公園に立地し、バーベキューメニューなどを提供する系列店「ラシーヌ ファーム トゥー パーク」で薫製をかけて仕上げている。前菜「メルゲーズソーセージ」¥1,100(税込)