あると便利! Go Toの国内旅行に着ていきたい、品よく活動的な5アイテム
Go To キャンペーンを軸に国内旅行のニュースが連日報道を賑わしている。上手くプランを組めば、驚くほど格安で小旅行を愉しめるようだ。巣ごもり生活の反動もあり、ニッポン各地への訪れを予定している人も多いだろう。そこで今回のファッション連載「着る/知る」は、我が国の風土に合う旅行着を考えた。温泉旅館にも都市部にも、紅葉した野山の散歩にも対応する服装がテーマだ。
そのスタイルとは、「アイビー崩しのスポーツシック」。日本人好みのアメリカンクラシックのイメージを、現代のアイテムでつくった。アイテム選びでもっとも重視したのは、軽さ、汚れにくさ、シワになりにくさ、水濡れの強さといった実用性である。大きなトートバッグひとつを肩に掛けて列車に乗り込むような旅は、服に気を遣わず過ごしたいものだ。
トータルで着る必要はなく、アイテム単品を普段の装いに加えるだけで快適になれる。計5点の内容は以下の通り。
1. 全天候でアクティブに穿ける、ニューバランスのパンツ
2. どんな服装も格上げする、キャプテン サンシャインのブレザー
3. 温かくシワにもならない、デサント オルテラインの白シャツ
4. 枕代わりにも便利な、ジョン スメドレーのニットストール
5. 進化した都会的な、ムーンスターのレインブーツ
続いてこれらの詳細を見ていこう。
パンツはニューバランスがスニーカーに合うパンツをテーマに開発した、「ウエスト トゥ トウ(WAIST TO TOE)」の新色となるグレー。このモデルはタック入りでわたり幅が広く、裾が狭いイマどきな「ワイドテーパード」だ。着丈は短く、ハイウエスト気味に腰位置を上げれば足首が覗き、落としてルーズに穿けばロング丈になる着こなし範囲の広さがいい。
さらに注目すべきは素材で、人気上昇中のハイテクな「ソロテックス」の新タイプだ。厚手のウールフランネル調でふっくらとして強い伸縮性があり、椅子に長時間座ってもシワがつきにくい。足の曲げ伸ばしを繰り返しても膝が抜けない。内側もサラサラで、寝るときも穿きたくなるほどストレスフリーだ。気軽に洗えて型崩れが少ない点も優れている。旅行には最高に便利なスポーティパンツである。
金ボタンのネイビーブレザーは、たとえ着ている服がヨレたジャージの上下でも、羽織るだけで見栄えする魔法のジャケット。国内旅行ではタイドアップする機会が限られるだろうからテーラードは必須アイテムではないものの、ブレザーを着るのは誰にでもいい印象を与える意味からもお薦めだ。
今回選んだのはニッポンブランド、キャプテン サンシャインの一着。三つボタン段返り、フラップつきパッチポケット、フックベントといったアメリカンオーセンティックのディテールを完備しつつ、薄手ウール生地で軽く柔らかく仕上げられている。ゆとりもあり、旅先でのラフな重ね着にも役立つ。内側にポケットが4個ついた収納力の高さも魅力だ。
白を活用するのが、品性を演出するコツ
コロナ禍での旅で何より気をつけるべきはマナーだろう。服装も気遣いが必要で、品の良さがあれば現地の人も笑顔で迎えてくれるはずだ。そこでぜひ白シャツをワードローブに入れておきたい。装いの中に一点でも白があれば、爽やかさが格段にアップする。しかしコットンのシャツはすぐシワになるし、汚れを落としにくいのも困りどころ。さらに冬場は寒く、実用的とは言い難い。
スポーツユースに対応するデサント オルテラインのシャツが、それらの問題を解決する。化繊のストレッチ素材でシワになりにくく撥水性があり、襟が汚れてもそこを水洗いすればOK。「シンサレート」の中綿入りで防寒もばっちりだ。フロントはスナップボタンで両サイドにポケットもあり、いわばシャツブルゾンなのだが、襟には中綿がなく首周りをシャープに演出する。ややクリーム調の色も、インナーにもアウターにも着回せる自由度の高さに結びついている。
ストールも旅のマストアイテムだ。防寒に加え、タオルや風呂敷のような道具と考えれば使う幅が広がる。乗り物のシートに座るとき首に当てたり、枕代わりにもいい。クッション材として荷物を包むこともできる。選ぶポイントは伸び縮みして丸めてもシワにならない、セーターのようなニット素材だ。
ここに紹介するのはイギリスの老舗、ジョン スメドレーの上質な一枚。長さ145×幅75cmで男性が使いやすいサイズだ。素材はエクストラファインメリノウールで、編み糸が細く耐久性があり実用度が高い。スエットシャツに近い霜降りグレーの色も実にオトコ好みだ。
最後にお届けするのは、都会的な顔つきの防水レインブーツだ。アウトドアと街を行き来する旅に持参すれば、気分が盛り上がるグッズである。アッパーも底もゴムなので、野外でついた泥を旅館やレストランに入る前に濡れタオルなどで拭えばすっきりと落ちる。さらにパンツの裾でアンクル部分を覆えば、見た目はシンプルなスニーカーそのものだ。
ゴム長靴製造の歴史を持つムーンスターがこのブーツをつくった。プロユースの機能を日常に落とし込んだ2019年からの新ライン、「810s(エイトテンス)」の一足だ。カップインソールはメッシュで分厚く、クッション力が優秀。ただしブーツ自体にやや重さがあり足ムレも避けられないため、これ一足だけで旅を続けるのは難しいかもしれない。荷物を増やせる車移動なら、足元にプラスワンするいい候補になるはずだ。
新型コロナウィルスがいまだ収束しない現在、旅先で出会う人たちへの配慮が求められている。「旅の恥はかき捨て」ということわざは、もはや通用しない。服装や立ち居振る舞いに気を配ってこそ、接する人を安心させつつ自身も愉しめる大人の旅になるのだ。