サンマ、ムール貝などユニークな素材づかいも光る、話題のネパール料理。

  • 写真:中庭愉生
  • 文:岡野孝次

Share:

写真:中庭愉生 文:岡野孝次

サンマ、ムール貝などユニークな素材づかいも光る、話題のネパール料理。

アディ
中目黒
独特な素材を使った、ネパール料理のダルバート
コシヒカリもブレンドしたもっちりなライス
ナチュラルワインとともに楽しめるディナー

手前から時計まわりに、マスタードシードが効いた野菜とカレーの炒め物2種、キュウリやニンジンをクミンとコリアンダーで和えたネパールサラダ、ダルスープ、チキンカレー、ネパール山椒が香るポークカレー、発酵青菜(グンドゥルック)のアチャール、トマトのアチャール。「ネパールのカレーはミックススパイス(ガラムマサラ)を使わないので、まろやかな辛さです」とシェフのカンチャンさん。食後にデザートも付く。「ダルバート」¥1,500(税込)

東急東横線・中目黒駅〜祐天寺駅間の線路脇に佇む、真新しいコンクリート打ちっぱなしの建物。2020年8月開業の「ADI(アディ)」は、昼はネパールの定食・ダルバート、夜はシェフのおまかせコースを提供し、朝9時30分オープンのチャイスタンドも併設する。1日を通じたハイブリットな営業形態が魅力で、とくにランチタイムは連日満席の盛況ぶりだ。

オーナーシェフは、ネパール出身のアディカリ・カンチャンさん。ダル(豆のスープ)にバート(ライス)、カレーやアチャール(漬物)などが付いた日替わり定食は、シェフの故郷の味わいがベースだが、たとえばカレーにサンマやムール貝を用いるなど、内陸国・ネパールには少ない海鮮の素材づかいも光る。バートも南アジアのバスマティ米と新潟産コシヒカリを合わせて、日本人好みなもっちり食感に。またスパイス使いもマイルドで、素材の味わいが映える。

要予約の夜のコースには、モモ(ネパールの餃子)の他、サラダや揚げ物などが供される。肉料理のセクワ(串焼き)はロティ(薄焼きパン)で巻いて、メキシカンのタコス仕立てに。スパイシーな味わいをフランスのナチュラルワインと合わせれば、ネパール料理の無限の可能性も感じられる。今後はチェコのスパークリングも楽しめるというから、新たなマリアージュにも期待だ。

4950円(税込)の夜のコースから「モモ トマトのアチャール添え」。モモの餡は日替わりだが、この日は豚肉に柚子を利かせて和の要素も。甘酸っぱいトマトのアチャールをソースに添える。一時休止していた夜の営業は10/7より再開。

こちらも夜のコースで供される「鴨のセクワ ロティ添え」。セクワは、クミン、ターメリックなどのスパイスを利かせたネパール風の肉の串焼きで、ロティ(薄焼きパン)と一緒にいただく。鴨の脂がワインを呼ぶ味わい。ナチュラルワインはフランス産の品揃えに定評のある、築地「クロスワイン」などから仕入れている。

オリジナルティーブランド「CHIYA-BA」の茶葉も店内で販売。ネパールの標高2500mの茶畑で収穫された茶葉は芳醇な飲み口で、ミルクとの相性もいい。「CHIYA-BA」のチャイはテイクアウト、イートインともに¥500(税込)。茶葉の販売はブラックティー「ホワイトフォレスト」(左)¥4,536(税込)、マサラチャイ「アーシーファイア」¥1,944(税込)。

コンクリート打ちっぱなしの店内は、新築物件ならではの清潔さ。椅子やテーブル、カウンターなど、インテリアはクラフツマンシップが感じられるものをチョイスする。ランプシェイドは、マダムの母のお手製だ。ダルバートの器やチャイのマグカップも益子焼で、テーブルウェアへのこだわりも光る。