デジタル一眼の名作「α」を移植、撮れるスマホだ!
昨年登場した「エクスペリア ワン」は特別なスマホだ。そのメーカーのすべてのリソースを結集させたスマホなど、ソニー以外につくれただろうか。逆に言うと、スマホにとって価値あるリソースをこれだけ全社に有しているメーカーなど、ソニー以外にあるだろうか。いまやスマホは通信機器の枠を大きく超え、静止画と動画のカメラであり、映像再生装置であり、オーディオのハイレゾ再生コンポーネントである。そうした現代のスマホにとって必須機能の優れた部分をソニーがもともともっていたというのが、エクスペリア ワンの出自の面白いところだ。
このたび登場した2代目で注目されるのは、デジタル一眼市場でトップの「α」を移植したカメラだ。もちろんサイズやレンズも違うが、「α」から画質コンセプトと機能、操作体系を移植し、スマホカメラとして刮目のクオリティ、機能性、操作感を得ることに成功した。
メーカーは高速AF/AE追従、高速連写、動物も可能な瞳検出などの新機能を推しているが、私はまず画調が気に入った。グラデーションが豊かで、緻密でナチュラルな絵だ。黒と白をはっきり分けるより、その中で色の階調性を細やかに再現する。特に肌の色調が美しい。
ソニーの技術者に尋ねたら、「決して派手に向かわず、『α』と同じナチュラルな画調を目指しました。特に人肌の表現が大事です。色のグラデーションが緻密に再現されるように、強い光が当たっても白飛びしないよう工夫しました。輪郭も必要以上に強調しません」。ソニー的な高品質感を感じさせる画像だ。
「α」的な操作体系を移植した「Photography Pro」機能も本格的。マニュアル、プログラム、シャッター優先などのモード選択、AF設定、ISO変更など、まるで「α」の操作感だ。目盛りを移動すると親指に伝わるクリック感もいい。
実用的と感心したのが、主要被写体認識機能。撮りたい対象が画面中央でなく端にいても、AFがそこにピントを合わせてくれる。画面の中央に花や人物があれば、撮影者はそれを撮りたいに違いないと、カメラは思う。その論理では端の被写体はボケるわけだが、本機は、開発過程で実際に撮られた膨大な数の写真をAI分析し、形や色によっては端の被写体こそ本命と判断する。
カメラと同じ、右上のシャッター位置がいい。スタンバイ状態でこのカメラキーを長押しすると、カメラが立ち上がる。半押しで、これも一般の一眼カメラと同じAFロックになる。まるで普通のカメラを操っているような快適さだ。
エクスペリア ワン マークツーはもはや「カメラ機能をもつスマホ」ではなく、スマホ機能をもつ高級カメラと断言できる。
独自のカメラ機能「Photography Pro」のUIは、デジタル一眼カメラ「α」を忠実に踏襲している。