涼しいアンダーウエアならトランクス。 シルク素材で格上げして、家生活を心楽しく!
4月から長く続いた外出自粛の生活がもたらしたものは、心を重くするネガティブな結果ばかりではなかった。私的に良かったのは仕事場を兼ねた部屋が片付き、自粛前よりワークフローがスムーズになったことだ。もっともビフォーが “かなりヒドい” で、アフターが “まぁまぁヒドい” 程度の変化なのだが。そしてもうひとつ、室内で着る服の大切さにも気づいた。他人に見せるものでもないから、身体が感じる快適さ、ストレスのなさが選ぶポイントになる。ちょっと奮発して最高の室内着を一着手に入れるのもいい、そんな思いが沸々と湧いた。きっと皆さんも似た気持ちではと思う。
そこで今回の「着る/知る」は、下着のトランクスに着目。素材がシルクの贅沢なものである。男の下着の主流はフィットするボクサータイプだが、ムレる夏には快適とは言い難い。風を通すトランクスの涼しさは愛用者ならご存知の通り。ただし世のトランクスの大半はコットン製だ。汗の吸収や乾きの良さは問題ないが、伸び縮みせず不快なときもある。しなやかでストレッチ製のあるシルクなら問題は解決する。かつて医療の現場で縫合糸として使われたほど人体と相性のいいシルクは、肌ストレスも極めて少ない。さらに見た目の上質さもコットンに勝る。短パンとして部屋着にしたいほど日常使いに最適なのだ。
まず最初に紹介するのは、シルクに特化したルームウェアブランド「ルクシー(Look Sea)」の定番トランクス。記事上段写真の2着は共に素材比率がコットン70%、シルク30%と実はコットンの割合が多いが、肌に当たる裏側にシルクが出るように工夫された生地だ。表側のコットンも光沢があり高級感は申し分ない。前開きにボタンがつき、スポーツショーツに似た表情なのも男っぽくていい。色も新しく写真のグレーやベージュが加わり、アースカラー流行りのファッショントレンドに即したコーディネートができるようになった。ルクシーを運営する同興商事は、シルクの素材開発から製品化まで手掛ける同素材のプロフェッショナル。水洗いできて長く穿けるクオリティの高さは折り紙つきだ。
女性デザイナーによる繊細なクオリティ
「ニューヨークでデザインして日本で縫製」をうたうバサラ(Basara)は、女性用のランジェリーを得意とするシルクに特化した下着ブランド。日本人の体型に合わせたバランスの製品になっている。女性の着用も視野に入れられたトランクスの生地は、フランスのPERRIN社製の厚地シルクサテン。ポリウレタンがわずかに混ざった、ストレッチ性が強く動きやすい風合いになっている。裏側のウエストバンド端や前開きの端は美しくトリミング処理され、簡易縫製のロックミシンも使われていない。日本人女性デザイナーによる、仕立てから穿き心地までが深く追求されたラグジュアリーなトランクスだ。
シルクの服はいちど良さを知ると、次々にワードローブに加えたくなる魔力がある。光沢のある見た目は意外とスポーティでもあり、肌馴染みの良さやムレのなさは天然素材の中でもトップクラス。ただし組成はタンパク質なため、洗濯は中性洗剤の使用が鉄則だ。ルクシーもバサラも優しい手洗いを推奨している。水濡れに弱く摩擦の耐久性も低いため労働着には向かないが、静かに過ごす室内着にはぴったりだ。これまで人に会うための外出着しか関心がなかった人も、新時代の生活を見据えて自分に投資するのもいいかもしれない。