異国ムードを漂わせる、『燃えよドラゴン』のカンフージャケット

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    異国ムードを漂わせる、『燃えよドラゴン』のカンフージャケット

    文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一
    イラスト:Naoki Shoji

    今年で生誕80周年を迎える伝説のカンフースター、ブルース・リー。中国名は李小龍。広東出身の演劇俳優の両親のもと、サンフランシスコで生まれた。生後間もなく映画『金門女』に出演、家族で香港に帰国してからも多数の映画に子役として出演した。そんなリーが単身アメリカに戻ったのは59年。それ以前から修行を積んでいた詠春拳などの武術を磨き上げ、自ら「截拳道(ジークンドー)」を創設、道場を開き、スティーブ・マックイーンやジェームズ・コバーンなどのハリウッドスターにアクションを指導するようになる。国際的な空手選手権で演舞した映像がTVプロデューサーの目に留まり、66年にTVシリーズ『グリーン・ホーネット』の準主役に抜擢され、派手なアクションで人気を博す。香港に戻った後、『ドラゴン危機一発』(71年)をはじめとする映画に出演し、一躍トップスターに躍り出る。しかし『燃えよドラゴン』が公開される直前の73年、急死を遂げる。圧倒的なアクションと、格闘の際に発する「アチョー」という怪鳥音など、いまも多くの人の記憶に残る唯一無二のカンフースター、ブルース・リーが愛した名品を追う。

    ポリエステルのツイル地を使った生地が独特のシワ感を演出する。フロントにひもを使ったボタンが4つ並び、両脇のポケットはパッチタイプ。ブルゾンのように気軽に着用できるデザイン。一枚仕立てなので季節を問わず、重ね着も可能だ。¥58,300(税込)/ブラック・コム デ ギャルソン(コム デ ギャルソン)

    ブルース・リーが主演した映画のほとんどで着用したのは、「功夫服」と呼ばれる中国の伝統服だ。日本では「チャイナジャケット」あるいは「カンフージャケット」と呼ばれ、リーは上下共地のセットアップスタイルで着用。アクションシーンでは上着を脱いで、迫りくる相手に果敢に挑むというのが映画のいつもの筋立てだ。

    このジャケットは立ち襟のデザインで、普通のボタンではなく、同色のひもを結んだボタン(ファッション業界ではこの結びをチャイナノット、あるいは釈迦頭結びと呼ぶこともある)に大きな特徴がある。シルエットもウエストに絞りがないストレートで、仕立てもシンプルそのもの。欧米のワークウエアに近い。中国拳法ではユニフォームのように着用されることが多く、リーはネイビーなど濃い目のカラーで、短い丈のタイプをよく着ている。

    パンツも一般的なベルトで締めるタイプではなく、ヒモで締めるイージーパンツ風。動きやすさを考慮してか、『燃えよドラゴン』(72年)では足首を固く縛ってこのパンツを穿く。

    ブランドのアイコン的なアイテムを中心にしたコレクションを揃える「ブラック・コム デ ギャルソン」では、頻繁にチャイナジャケットがつくられている。今シーズン登場したモデルでは、素材にポリエステルのツイル地が使われている。洗いのかかったブラックの生地とソフトな仕立てが特徴だ。ディテールなどはリーが着ていたジャケットを彷彿させるもので、ショート丈のデザインが着る人に躍動感を与えてくれる。一枚でオリエンタルな異国ムードを漂わせ、ブルース・リーのような雰囲気を演出してくれる逸品だ。

    チャイナジャケットのアイコン的なデザインであるひもを結んだだけのボタン。ほとんどのチャイナジャケットで、身頃と同色のひもが使われる。

    『ドラゴンへの道』(72年)では珍しく長い着丈のチャイナジャケットを着ているが、こちらも同じようなロングタイプ。ショート丈のモデルとは違い、素材もポリエステルのトロピカルが使われ、やや薄目の生地だ。ポケットのデザインもスラントタイプで、手を入れやすくなっている。¥59,400(税込)/ブラック・コム デ ギャルソン(コム デ ギャルソン)

    2009年に誕生した「ブラック・コム デ ギャルソン」はブランドのアイコン的なカラーであるブラックを基本にアイテムを展開。バッグや靴まで揃う。

    コム デ ギャルソン TEL:03-3486-7611
    www.comme-des-garcons.com