「プレイ・ローカル」というキャンペーンで考える、オランダの音楽業界支援策の行方。【コロナと闘う世界の都市から】

  • 文:ユイ キヨミ

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「プレイ・ローカル」というキャンペーンで考える、オランダの音楽業界支援策の行方。【コロナと闘う世界の都市から】

文: ユイ キヨミ

インディーズ系ロックバンド「STAKBABBER(スタックババー)」の2020年2月のライブ風景。いまは、予定されていたライブがすべて中止になってしまったそうだ。再びスポットライトを浴びる日はいつ? photograph by Kiyomi Yui

2020年3月にオランダでコロナウイルスの感染拡大が確認されると、真っ先に営業中止になったのは劇場やライブハウスだった。そこで始まったのが、自国のミュージシャンを支援するキャンペーンだ。「プレイ・ローカル」をスローガンに、テレビやラジオでもっと国産音楽を流そう!と呼びかけるもので、主導するのは音楽著作権協会「ブーマ」。ミュージシャンに代わって著作権を管理し、メディアなどで流れた楽曲の使用料を徴収する組織である。

4月のキャンペーン開始以来、テレビやラジオの有名トーク番組には国産ポップ・ミュージックを紹介する新コーナーが登場。スポティファイでも、「メイド・イン・NL」なるチャンネルができて話題を集めている。ライブ収入が途絶えたミュージシャンにロイヤリティを増やすことで貢献しようというこの支援キャンペーンは、音楽ファンにとっても、外国勢に押され気味の国産ポップ&ロックの魅力を発見する好機となっている。

そしてようやく、6月1日からは、スタッフを含む30人を収容人数の上限として劇場およびライブハウスの営業再開が許されることに。だが実質、この条件のもとでの営業は難しい。フェスティバルなどのイベントはいまだ、とりあえず9月1日までは開催禁止。音楽の分野をはじめ瀕死の文化セクター全般に対して、政府は3億ユーロの支援を約束しているが、被害の大きさを考えると焼け石に水という声も。果たしてどうなる⁉