再始動する館で、美術の地平を俯瞰。

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    『開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地』

    アーティゾン美術館

    再始動する館で、美術の地平を俯瞰。

    川上典李子エディター/ジャーナリスト

    エドゥアール・マネ『自画像』1876~79年

    メアリー・カサット『日光浴(浴後)』1901年(新収蔵作品)

    ヴァシリー・カンディンスキー『自らが輝く』1924年(新収蔵作品)。いずれも、厳選された名作をひとつの地平に並べる第1部「アートをひろげる」での紹介となる。展示空間は、インテリアデザイナーの米谷ひろしが代表を務めるトネリコが担当。温かみのある空間の中、ゆったりと作品を鑑賞できる。

    1952年に誕生したブリヂストン美術館を前身とするアーティゾン美術館が、この1月に新たに開館。展示室は3フロアとなり、旧美術館の約2倍の広さになったという。
    全展示室を用いて開催される開館記念展では、およそ2800点にもおよぶ石橋財団コレクションからの厳選作品206点が紹介される。うち31点が新収蔵作品の初公開だ。
    印象派を代表する女性画家ベルト・モリゾやメアリー・カサット、未来派の主要メンバーのひとり、ウンベルト・ボッチョーニ、抽象美術の発展に貢献したヴァシリー・カンディンスキー、アルベルト・ジャコメッティ。そして、松本竣介をはじめ日本の絵画作品も拡充された。
    開館記念展はふたつの軸で構成されており、前述した新収蔵作品を含む第1部は、1870年代のエドゥアール・マネから2000年代のピエール・スーラージュの作品までを網羅し、近現代美術を一望できる。第2部では古今東西の作品を、テーマに沿って掘り下げて紹介。同館収蔵の代表作品を新たな構成で堪能できる。そのテーマとは「装飾」「古典」「原始」「異界」「聖俗」「記録」「幸福」の7つで、幅広い視点で展開される。
    同美術館で今後予定されている企画にも注目したい。前身のブリヂストン美術館は西洋美術、日本近代絵画の印象が強かったが、今後の展覧会には現代美術の紹介も含まれていく。収蔵作品と現代アーティストのジャム・セッションとも言えるインスタレーションも予定されており、今春にはヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示の帰国展も控えている。
    いにしえから現代まで、壮大なスケールでもって再始動するアーティゾン美術館。人間の創造行為であるアートの奥深い魅力を、太古から振り返り存分に体感してみたい。

    『開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地』
    開催期間:1/18~3/31 
    会場:アーティゾン美術館
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    開館時間:10時~18時(祝日を除く金曜は20時まで) ※入館は閉館の30分前まで 
    休館日:月(2/24は開館)、2/25 
    ウェブ予約チケット:一般¥1,100   ※日時指定予約制、ウェブ予約が完売していない場合窓口販売(一般¥1,500)あり
    www.artizon.museum