東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第92回 LAND ROVER RANGE ROVER EVOQUE/ランドローバー レンジローバー イヴォーク
待ちわびたヘッドライナーはひと味違う!? 真打ち、新型レンジローバー イヴォークが登場。

フェイスデザインはレンジローバーで共通化が図られている。
ランドローバーの稼ぎ頭、レンジローバー イヴォークが海外で販売されたのは8年前。スタイリングもさることながら、飛び抜けていたのはSUVとは思えない走りのよさだった。剛性の高いボディと、ホットハッチを運転しているような取り回しのよさには驚かされたし、日本でもよく売れた。
そしてこの夏、待望の新型イヴォークが発売された。スタイリングやインテリアは、2年前に登場した中型SUVのヴェラールと共通したデザイン観。前後のオーバーハングが短く、四肢を力強く地面に張ったデザインは先代からのもので、イヴォーク独特のエッジの効いたスタイリングに、レンジローバーらしい気品ある英国調の高級感が上乗せされている。試乗したクルマはボルドーの革材にブラッククロームの内装で、ヴェラールでも話題になった、シンプルなインフォパネルやステアリングまわりのインフォメーションスイッチと絶妙にマッチしてたね。
SUVの高級化は世界的なトレンドだけど、レンジローバーはスマートですよ。自らの強みを知り、現代のマーケット向けにアップデートしていく姿勢は、同じく8年ぶりにフジロックフェスティバルのヘッドライナーを飾ったケミカル・ブラザーズになぞらえたい。変えない部分と市場のニーズを先読みした部分のバランス感覚が秀逸で、いかにも英国らしい。それでいて前回から8年経った2019年においても「やっぱコレだわ」と納得させる、真打ち登場を印象づけてくれるんだ。
アップデートを重ねる、英国製SUVの人気モデル
特に走りは本物。コンパクトかつ堅牢なのは前作通りなんだけど、マイルドハイブリッドによるモーター駆動を始動時のブーストに、それと気づかせずに使いつつ静粛性を演出。スルリと走りだすと、直4ターボのとびきり抜けがよく、陽気なリズムにスイッチする。軽快でスマートなんだけど、キビキビ走るアッパーなノリでもない。むしろ足まわりの硬さに由来するようなスポーティさとは一線を画した、しなやかな走りが新調したランニングシューズのように心地よい。ランドローバーは車種を問わず、そのオフロード性能の高さゆえにオンロードでの納まりの悪さを感じるんだけど、イヴォークに関しては完璧でそれがない。
砂地や雪道、泥濘地を走る専用の走行モードがあり、ボンネット下の路面状況をモニターできるカメラを搭載するなど、オフロード性能の進化についても並々ならぬ情熱が感じられるんだけど、本領はこっちなのにもはや隠れボーナス的になっている(笑)。
それと前作からアップデートされたところで見逃せないのは、「夜のドライブのためにあるSUV」と断言したいほど「音楽との相性がいい!」ってことなんだ。メリディアン製のハイファイサウンドシステムは音の解像度がとにかく高くて、たとえばブレイクビーツのようなベースラインぶりぶりの音でもウーハーに依存することなく、自然な低音で音像を形成する。だから大音量にした時に、ひと昔前のサウンドシステムのような脳天を直撃するような低音ではなくて、全体のバランスの中でくっきりと低音を主張するんだ。
この辺のセンスもさすがレンジローバーって感じ。走りやデザイン、機能であれ、それらをアップデートしてくれる感覚こそ、本当のところ新車に乗りたいいちばんの理由でしょ。なるほど、新型イヴォークはアップカミングなSUVってことなんだね。
このRダイナミックモデルは、エアダクトにフィンを追加して精悍さを表現。
ステアリングは形状やスイッチなど細部へのこだわりを感じる。
音楽好きには嬉しい、液晶メーターパネルにジャケ写を投影できる仕様。
ステッチ入りの革素材とクロームパーツが高級感を演出。
音像にこだわったメリディアンの英国製サウンドシステム。
ルーフ後部にはルームミラー用カメラを搭載する。
●エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
●排気量:1995cc
●最高出力:300PS
●駆動方式:4WD(フロントエンジン4輪駆動)
●車両価格:¥8,010,000(税込)
問い合わせ先/ランドローバーコール
TEL:0120-18-5568
www.landrover.co.jp