東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第91回 CITROEN C5 AIRCROSS SUV / シトロエン C5 エアクロス SUV
ダブルシェブロンはやっぱりリベラルの代名詞!? “快適”革命の士、C 5 エアクロス SUVが誕生。

ダブルシェブロンが効果的に配されたフロントグリル。
シトロエン初のSUVとして誕生したのがC5 エアクロス SUV。乗ってみるとなるほど、ものすごく戦略的なSUVだったんだ。世界的に過熱するSUVマーケットで「シトロエンらしさ」を打ち出すにあたり、選んだ道は「乗り心地のよさ」だった。
シトロエンといえばハイドロニューマチックと呼ばれる、金属バネを窒素ガスのガス圧に代え、油圧シリンダーと組み合わせた革新のサスペンション技術が広く知られている。その乗り心地は自動車業界を震撼させ、多くの高級車メーカーも追随したんだ。
乗り心地のよさを求めた、シトロエン初のSUV
そんなハイドロの現代版(メーカーいわく)が、このC5 エアクロス SUVに搭載されたプログレッシブ・ハイドローリック・クッションと呼ばれるサスペンション。これは新開発されたバネサスで、構造はハイドロともエアサスとも異なる。衝撃を吸収するダンパーをさらにダンパーで補完するような感じのバネサスで、電子制御で減衰力を調整したり、車高調整はできない。でもその乗り心地は、到底500万円以下で買えるSUVの足まわりとは思えない出来栄えなんだ。
その乗り心地は、新しくも懐かしい感覚。エアサスに似ているけどよりしっとりしていて、底突きは絶対しない低反発のマットレスが敷かれているような感じ。スピードを上げると独特のふわふわした感じがあるのも、ちょっと前のエアサスに似ているね。峠を攻めるような足まわりではないけど、特に中低速域では病み付きになる乗り心地のよさがある。この心地よさを引き立てているのが、高密度フォームを採用したシートなんだ。サイドにホールド感があって、身体がすっぽりと真ん中に収まるイメージ。この座り心地もユニークで、車名のエアクロスも「伊達じゃない」と感じられた。ラウンジやカフェのシートと言うよりは、ハーマンミラーのオフィスチェアのような人間工学に基づいた、疲れにくい椅子の座り心地に近いかもね。
今回、連休を利用して軽井沢に行ったんだけど、ふた家族でチャイルドシートに1歳の赤ちゃんも乗せていったのね。この小さな同乗者への気づかいの意味でも、C5 エアクロス SUVはパーフェクトだった。まぁ、1歳児は言葉が話せないだけで、「贅沢を言わせてもらえば、足まわりはもう少し固めがいい」って言いたかったかもしれないけど(笑)。「ベストな選択をした」という満足感が、運転しながら味わえる乗り心地なんだな。
独立した後部座席の3座も見た目は狭く感じるけど、座るとちゃんと大人3人が乗れてストレスフリー。荷物も3日間のふた家族分と、ベビーカーをしっかりと積めた。2Lのディーゼルターボエンジンはリッター当たり14kmぐらい走ってくれたし、音も静かで同乗者からするとディーゼルだとは気づかないくらいだ。トレンドの安全快適装備もひと通り搭載されていて、気の利いたデザインも悪くない。まぁ、あえて贅沢を言えば4WDは欲しいかも。冬の軽井沢を考えるとね。
欧州車は欲しいけど、軒並みスポーティで固めの足まわりが多いドイツ車系SUVへのアンチテーゼであり、乗り心地に至っては断然バリュー・フォー・マネーに優れた1台。家族のことを考えた1台なのはもちろん、政治家や士業の先生なんかもさっそうと乗っていたら、日本もなかなか素敵な国になりそうだと思ったね。
赤いプロテクターがアクセントになりカジュアル感を演出。
オプションのナッパレザーを使用したシックなインテリア。
クッション座面と中心部に高密度フォームを充填した独自のシート構造。
バイカラーが映える上からの眺め。車内はエアクオリティシステムによりクリーンな空間を実現。
フランス車にお約束のグラスルーフは開放感も抜群。
テールランプは3Dの視覚効果をもつ仕様。
●エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:177PS/3750rpm
●駆動方式:FF(フロントエンジン前輪駆動)
●車両価格:¥4,240,000(税込)
問い合わせ先/シトロエン コール
TEL:0120-55-4106
www.citroen.jp