ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルが、ファッションアイコンだった理由。

    Share:

    ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルが、ファッションアイコンだった理由。

    文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一
    イラスト:Naoki Shoji

    第4回 「モスコット」の眼鏡

    誰もが15分なら有名人になれる。いずれそんな時代が来るだろう——ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルの有名な言葉です。1960〜80年代に大活躍したウォーホルは、キャンベル・スープ、マリリン・モンローなどの作品で知られ、20世紀を代表する巨匠のひとりと言われています。絵画だけでなく、音楽や映画などのプロデュース、雑誌まで発刊するなどマルチメディアアーティストの先駆けとなった人物です。また、ウォーホルはファッションアイコンとしても知られ、多くのパーティやイベントで撮られた写真が残されています。意外にも着こなすアイテムはベーシックなデザインの名品ばかり。ボタンダウンシャツ、ジーンズ、ローファーなどが、銀髪のかつらをかぶった彼の手にかかると、まるで彼の作品のような斬新で、ポップなアイテムに見えてくるから不思議です。そんなアンディ・ウォーホルが愛した名品をひも解いてみましょう。

    丸みのあるシェイプが特徴的。ブリッジ位置を上部に配置したボストンタイプのデザイン。クラシックかつナードな雰囲気が感じられるモデルです。これは透明な「FLESH」と呼ばれるカラーですが、ブラックやブラウン系のモデルも揃っています。¥33,480(税込)/モスコット

    アンディ・ウォーホルのトレードマークと言われるが鮮やかな銀髪です。実はこれはウィッグ=かつらでした。その髪の色に合わせたのかもしれませんが、彼がよくかけていたのが、透明のセルフレームの眼鏡です。これはニューヨークの老舗眼鏡ブランドである「モスコット」のものだと言われています。クラシックなボストンタイプのデザインで、モデル名は「ミルゼン(MILTZEN)」。透明なフレームの色は「FLESH」と呼ばれています。モデル名はモスコット家の叔父の名前が由来で、1930年代に発表されたデザイン。アンディ・ウォーホル以外にもジョン・レノンが愛用したモデルとして知られています。
    1915年に創業された「モスコット」は、ロウワーマンハッタンで5世代に渡って経営を続けるアメリカを代表するアイウエアブランドです。現在でもニューヨークに店を構えるほか、日本でも人気を集めるブランドで、多くの有名人にも愛用されてきました。現在はクラシックかつ時代を超えたデザインを中心にした「モスコット オリジナル」と、「モスコット オリジナル」をよりソフトに、カジュアルに、さらには大胆さを加えた「モスコット スピリッツ」の2つのラインを展開していますが、ウォーホルが愛用した「ミルゼン」は前者に属するモデルで、「レムトッシュ」と並ぶ同ブランドの代表的な眼鏡です。

    テンプルにはロゴマークが入っています。「N.Y.C」の刻印がニューヨーク生まれの証です。

    眼鏡のヨロイに入った2つのドットが繋がったダルマ鋲が独特で、クラシックなデザインにポップな印象を与えます。

    レザーにイエローのステッチが入った「モスコット」の真眼鏡ケースが付属されています。

    問い合わせ先/モスコット トウキョウ TEL:03-6434-1070