東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第75回 PORSCHE 718 BOXSTER GTS / ポルシェ 718 ボクスター GTS
晩秋と718 ボクスター GTSの晩餐感!? 暮れゆく世界へ、アクセルを踏み込もう!
秋深し。ポルシェのオープン2シーター、718 ボクスター GTSで連休を利用して軽井沢を走り回ってきた。紅葉に彩られた鬼押(おにおし)ハイウェーや浅間白根火山ルート、碓氷(うすい)峠あたりを走って、その距離ざっと800km。エンドレスでエンドルフィン分泌な夢見心地のあまり、こんなに運転で濃密な時間を過ごしたのは、いつぶりぐらいだろうって考えちゃったよね。
マニュアルの3ペダルを1日運転して疲労感でぶっ倒れそうになっていても、降りた瞬間、猛烈に後ろ髪が引かれてまた走り出したくなる、あの感じ。このクルマのシート越しに感じる、低音でドッドッドッと脈打つ水平対向4気筒エンジンの鼓動が愛おしくて離れがたくなるんだな。エンジンを切ってもクーリングファンが回っていて、サイドのエアベントからグォォと空気を吸い込んでいる。
押し出しの強さとコケティッシュな魅力が同居したフロントに、車重バランスのよさをうかがわせるサイドビュー、そして象徴的なエアインテークに無駄のないミッドシップレイアウトを感じる。オープンにした718 ボクスター GTSは走る気にさせるデザインだけど、控えめなジュエリーさながらの奥ゆかしさがあるんだ。
ポルシェをはじめとしてドイツ系高級車がやたらと多い、日本版ロマンティック街道を地で行く軽井沢で選ぶべきは718 ボクスター GTSですよ。これは間違いないね。
走る楽しさを実感させる、ロードスターの最新モデル
ミッドシップレイアウトの張り付くように走るコーナリング性能に、アクセルを戻すとワインディングにこだまするアフターファイア音。これをオープンにして、自然(コース)と自分とクルマの三位一体で堪能できるのはモータースポーツの原点だよね。それに加えて、やっぱり絶滅寸前のマニュアルシフトで走りたい。左腕をコンソールに乗せつつシフトを操り、「やってください」とばかりにヒール&トウが完璧に決まるペダルレイアウトで、クルマとの一対一の時間に没頭すれば、あっという間に日が暮れる。コーナリングの侵入と脱出に一喜一憂。鬼押出しで鬼プッシュ。渋滞だけは、自動変速のPDKがいいかもなんて微塵も思わない。まぁ、そこかしこで連休の渋滞だらけだったけどね(笑)。
365馬力あるこのクルマは、2シーターと車格、日本の平均的な峠道を考えるとややオーバースペックかもしれない。でも峠を攻める以上、スペックの冗長性はないと退屈だし、直線が続けば全開走行だって楽しめる。低速でもて余すぐらいのトルクがあるから休憩なしの連続走行には向かないけど、足まわりもポルシェのハイスペックモデルにしてはその硬さが気にならない。走っている間は、どんなに疲れていても幸福感で胸いっぱい。たとえば峠に行き着く高速は、あくまでも移動と考えて、オープンにしていちばん左側を走っていれば長距離移動も苦にならないし(笑)。
大げさかもしれないけど、718 ボクスター GTSの3ペダルをオープンにして峠を走るという体験は、最新のスペックで武装し、クルマの楽しさの原点にたどり着く残りわずかな機会に他ならない。ひとりでもよし、かけがえのない誰かを横に乗せるでもよし。25歳の頃を思い出す、身体がピリリとするようなこのクルマの晩餐感(ヴァンサンカン)は、街乗りだけでは味わい尽くせないよね。
●エンジン形式:水平対向4気筒ターボ
●排気量:2497cc
●最高出力:365PS/6500rpm
●駆動方式:MR(ミッドシップエンジン後輪駆動)
●車両価格:¥10,380,000~
問い合わせ先/ポルシェ カスタマーケアセンター
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